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2017.04.06 (THU)

免疫病・がん先端治療学講座の臨床研究の成果がLancet OncologyのNews Articleとして紹介されました

順天堂大学大学院医学研究科・免疫病・がん先端治療学講座の森本幾夫教授らの研究グループによる「ヒト化CD26抗体によるフランスでのFirst in Man 第 I 相臨床試験」の臨床研究の成果が、Lancet誌の腫瘍学専門誌「Lancet Oncology (IF=26.509)」の2017年3月23日号にてNews Articleとして紹介されました。 本研究は免疫病・がん先端治療学講座が取り組んできた順天堂主導の臨床研究成果で、オリジナリティが高く、有効な治療法がなく予後が極めて悪い悪性胸膜中皮腫に対して安全で革新的な治療結果を示したものです。ヒト化CD26抗体開発は、森本教授が20年以上にわたり研究を続けてきたCD26分子に関する基礎研究の成果を臨床現場に応用したトランスレーショナルリサーチです。
本抗体は、従来の抗体医薬としての作用だけでなく様々な機序を介して抗腫瘍作用を発揮することが期待されております。本邦でも近々、治療抵抗性の悪性中皮腫に対する第 I 相臨床試験が開始される予定であり、従来の治療薬では十分な効果が得られずに苦しんでいるがん患者の救いとなることが強く期待されます。

掲載先: Lancet Oncology 2017年3月23日号 
Monoclonal antibody YS110 for refractory solid tumours
http://dx.doi.org/10.1016/S1470-2045(17)30233-4

臨床研究報告論文: Br J Cancer 2017 published online March 14.
First-in-human phase 1 of YS110, a monoclonal antibody directed against CD26 in advanced CD26-expressing cancers.
DOI:10.1038/bjc.2017.62
大学院医学研究科・免疫病・がん先端治療学講座 森本幾夫教授のコメント

悪性中皮腫をターゲットとしたCD26抗体の第Ⅰ相臨床試験の結果が、腫瘍学で最も評価の高いLancet Oncology誌で取り上げられたことは、本抗体の適用がいかに革新的な治療であるかを示しています。また医学研究に携わる者として自分の研究成果が患者さんの治療に用いうる可能性が高まったことは研究者冥利に尽きます。
本邦においても、近々に治療抵抗性の悪性中皮腫患者さんへの第Ⅰ相臨床試験がスタートする予定となっており、その効果を期待しています。

森本幾夫客員教授

森本幾夫教授