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シンポジウム「2025東京デフリンピックに向けてアスリート、患者さんとともに考える“誰ひとり取り残さない医療”とは?」を開催しました

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順天堂大学(学長:新井 一)は、2023年2月22日に本郷・お茶の水キャンパス小川秀興講堂にて、シンポジウム「2025東京デフリンピックに向けてアスリート、患者さんとともに考える“誰ひとり取り残さない医療”とは?」を一般財団法人全日本ろうあ連盟協力のもと開催しました。

2025年に東京での開催が決定したデフリンピックに向け、「きこえない・きこえにくい患者さんに対して、医療者としてどのようなことができるのか」をテーマに、2021年5月にブラジルで開催された【2021カシアス・ド・スル デフリンピック】(以下、ブラジル大会)に帯同した日本チームのスタッフ、選手がブラジル大会の報告と東京大会に向けて講演しました。

シンポジウム概要

日 時:2023年2月22日(水)18:00~20:00
場 所:順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパス 7号館 小川秀興講堂
対 象:順天堂大学の教職員・学生をはじめ関心のある方
参加費:無料(※手話通訳・要約筆記あり)
参加者:172名
主催:順天堂大学
協力:一般財団法人全日本ろうあ連盟

医療現場における「やさしい日本語」の積極的な研究と普及活動をしている、順天堂大学医学部医学教育研究室の武田裕子教授と、ブラジル大会にメディカルスタッフとして帯同した順天堂大学スポーツ健康科学研究科博士前期課程2年の染谷咲子看護師が司会のもと、順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構の鈴木大地機構長、一般財団法人全日本ろうあ連盟の石野富志三郎理事長の挨拶から始まりました。

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シンポジウムの冒頭、司会から「拍手」の手話の紹介がありました

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順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構 鈴木大地 機構長

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全日本ろうあ連盟 石野富志三郎 理事長

2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会を振り返って

第1部では、全日本ろうあ連盟の倉野直紀本部事務所長、スポーツ健康医科学研究所博士研究員の野津将時郎氏、ブラジル国立リオ・グランデ・ド・スール連邦大学大学院の森口エミリオ秀幸教授の3名が登壇しました。
ブラジル大会に順天堂大学からは、医師・看護師・理学療法士の計3名が医療従事者として帯同しました。国際大会でデフアスリートが最大限パフォーマンスを発揮できるような現地でのサポートの様子についての講演となり、COVID-19のクラスター発生対応や感染拡大防止対策、デフアスリートの病院受診フォローなど、身体的・精神的サポートの様々な話が紹介されました。
また、森口先生はブラジルで巡回診療医として活躍をしており、ブラジル大会での現地医療サポートメンバーとしての体験のほか、現地での診療の難しさについても語りました。
森口先生の講演後には、森口先生のブラジル大会でのご尽力に感謝を込め、同大会の帯同医でありデフリンピック準備室アドバイザーを務める薬師寺道代先生より花束が贈呈されました。

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全日本ろうあ連盟 倉野直紀 本部事務所長

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スポーツ健康医科学研究所 野津将時郎 博士研究員

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ブラジル国立リオ・グランデ・ド・スール連邦大学大学院 森口エミリオ秀幸 教授

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ブラジル大会の帯同医でデフリンピック準備室アドバイザーを務める薬師寺道代先生(左)より、森口先生(右)に花束が贈呈されました

2025東京デフリンピック競技大会に向けて

第2部では、2025年の東京大会への取り組みとして、全日本ろうあ連盟の久松三二事務局長より大会招致と今後のスケジュール、箭内秀平選手(自転車競技)、早瀬久美選手(自転車競技)、金持義和選手(水泳競技)の3人のデフアスリートから、ブラジル大会での経験と東京大会への意気込みを語っていただきました。

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全日本ろうあ連盟 久松三二 事務局長

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箭内秀平選手(自転車競技) ※本学スポーツ健康科学部2010年卒業生

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早瀨久美選手(自転車競技)

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金持義和選手(水泳競技)

また、順天堂大学医学部生の2名から、本学医学部で取り組んでいる「やさしい日本語」「手話の病院」の紹介を行い、参加型コーナー「手話を覚えよう!」では、「順天堂」の手話表現をはじめ、日常生活で使う簡単な手話や競技の手話について、順天堂医院の職員やデフアスリートから紹介がありました。最後は『応援しています。頑張れ日本!デフリンピック』の手話を参加者全員と行い、東京大会に向けて一体感が高まる有意義な時間となりました。

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医学部生が 「やさしい日本語」と「手話の病院」の取り組みを紹介しました

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医学部生がゼミで取り組んだ「手話の病院」の動画を会場で流しました

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そして今回のプロジェクトの発起人でもあり、ブラジル大会に帯同した順天堂大学スポーツ医学研究室の塩田有規准教授の講演もありました。帯同を通じて、ろう者の方が様々な困難に遭遇していることを知り、2025年に東京での開催が決定したデフリンピックを契機に、まずはスポーツを通して積極的に関わっていくこと。また、デフリンピック東京大会を盛り上げ、さらに「きこえない・きこえにくい患者さんに対して、医療者としてどのようなことができるのか」の実現を目標に、力強く語りました。

また、今回、総勢172名の参加があり、約15%の方が聞こえない、もしくは難聴者の方でした。
すべての方が漏れなく講演を楽しんでいただけるよう、順天堂大学として今回「手話通訳」「要約筆記」の2種類の情報保障を行いました。

最後に順天堂大学医学部長の服部信孝教授より挨拶があり、盛会のうちに幕を閉じました。

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スポーツ医学研究室 塩田有規准教授

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服部信孝 医学部長

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シンポジウムの間、参加者は手話で「拍手」をしました

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すべての方に講演を楽しんでいただけるよう、「手話通訳」と「要約筆記」の2種類の情報保障を行いました

参加者から寄せられた声(アンケートより)

  • 初めてデフリンピックを知った。東京大会が楽しみ!
  • デフアスリートの活動を知るために、いろいろなデフスポーツ競技を観戦したい。
  • 企業、自治体などにデフリンピックと医者、看護師との関わりの大切さをアピールして欲しい。
  • 「手話の病院」の取り組みもとても良く、私も参加ないし教育に活用してみたいと思った。
  • デフアスリートの方と生で会えてお話を聞けたのは嬉しかった。
  • ろう者や難聴の方をイベントにお招きする際の様々な配慮事項を知ることができた。
  • 東京デフリンピックのボランティアとして参加したいという気持ちが強くなった。耳が聞こえない私にとって配慮(聞こえの保障)ができていたので、シンポジウムの内容が理解できて良かった。
プログラム

開会挨拶 : 順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構 鈴木大地 機構長
一般財団法人全日本ろうあ連盟 挨拶 : 石野富志三郎 理事長

<第1部:2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会を振り返って>
  1. 「2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会を終えて」
    一般財団法人全日本ろうあ連盟 倉野直紀 本部事務所長
  2. 「2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会に帯同して」
    順天堂大学スポーツ健康医科学研究所 博士研究員 野津将時郎
  3. 「ブラジルにおける医療事情・巡回診療と2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会選手団の往診診療を受け入れて」
    ブラジル国立リオ・グランデ・ド・スール連邦大学院 森口エミリオ秀幸 大学附属病院内科学部長
  4. 森口エミリオ秀幸先生ヘの花束贈呈
    障がい者スポーツ医 薬師寺道代 先生(2021カシアス・ド・スル デフリンピック競技大会帯同医、デフリンピック準備室アドバイザー、日本パラスポーツ学会理事)
<第2部:2025東京デフリンピック競技大会に向けて>
  1. 大会招致メンバーから 一般財団法人全日本ろうあ連盟 常任理事 事務局長 久松三二
  2. アスリートから① 自転車競技 箭内秀平(本学スポーツ健康科学部:2010年卒)
  3. アスリートから② 自転車競技 早瀨久美(聴覚障害者初の薬剤師)
  4. アスリートから③ 水泳競技 金持義和(プロデフアスリート)
  5. 順天堂大学医学生から 「やさしい日本語」と「手話の病院」について:順天堂大学 医学部 学生
  6. 手話を覚えよう!~デフアスリートを手話で応援しよう~:順天堂大学医学部附属順天堂医院 事務部 平野澄江
  7. 順天堂大学デフリンピック準備チームから「ろう者が受診しやすい病院・レガシーを残すために」:順天堂大学スポーツ医学研究室 塩田有規 准教授

閉会挨拶 : 順天堂大学医学部 服部信孝 学部長

*司会*

順天堂大学医学部医学教育研究室 武田裕子 教授
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程2年 染谷咲子 看護師

<関連リンク>

・スポーツ医学研究室:https://sportsmed.juntendo.ac.jp/
・スポーツ健康医科学推進機構:https://jasms.juntendo.ac.jp/
・誰一人取り残さない医療のために。ろう者と医療機関の壁を取り除く順天堂の取り組み:https://goodhealth.juntendo.ac.jp/social/000285.html