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2023.04.13 (THU)

学校法人順天堂「AA(ダブルAフラット)」の格付維持 発行体格付:AA[格付の方向性:安定的]

 学校法人順天堂は、我が国最大の格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)の格付で「AA(ダブルエーフラット)」を維持しました(2023年3月23日付)。
 順天堂は平成19(2007)年の格付取得以降、新学部開設、再編事業によるキャンパス整備、附属病院の増床や建て替えなど大規模プロジェクトを進め、また新型コロナウイルス感染症という逆風もあるなか、運営努力などが評価され極めて高い格付を継続して付与されています。 

格付理由

 1838年創立の日本最古の西洋医学塾を源流とする学校法人。大学は医学部やスポーツ健康科学部、保健医療学部など7学部を設置する。6カ所の附属病院の収支はいずれも安定しており、学校法人としての医療収入額は国内首位の規模を有し、事業活動収入の約8割を占めている。とりわけ本郷・お茶の水地区の順天堂医院(本院)は高度な医療技術や患者本位の医療サービスの提供で評価が高く、医学部の研究施設を併設し、厚生労働省から国内に14カ所しかない臨床研究中核病院の指定を受けている。
 医学部が人材育成、医療研究で多大な役割を果たし、医療看護学部などの医学関連学部も病院への人材供給面で大きく貢献している。2023年度の一般選抜試験では医学部の入試難易度が首位になったほか、医師国家試験は2021年度までの過去10年の合格率平均は国内2位、2022年度実施分は国公私立合わせて唯一100%の合格率であり、優秀な学生を集めるとともに良好な教育実績を残している。また、附属病院は臨床研修医の受け入れ人数で5年連続国内最多を記録するなど、他大学の卒業生を含め学生からの評価が高い。
 高等教育機関の評価とともに附属病院群の競争力が法人の信用力を支える柱になっている。特に本院、静岡病院、浦安病院、練馬病院の4カ所は医療ニーズに応えたサービスの高度化や病床増加を進め、収支面で大きく貢献している。もっとも、病院事業は診療報酬や薬価の改定といった医療政策・制度の影響で患者数や収支が左右され、産業リスクが比較的大きい。直近の2年度は新型コロナウイルスの影響を受けたが、経営努力と補助金収入により安定収益を確保した点は評価できる。2023年度以降は感染症法上の分類が「5類」に移行する予定であり、患者数と収支の動向を注視していく。
 小川秀興理事長の卓越したマネジメント力、強いリーダーシップ、法人の「不断前進」の理念のもと、教職員が一体となって大学と病院の改革が進み、大きな成果を上げている。国家試験の合格率向上や改組を含む5学部の開設、練馬病院、研究センターの新設で成果を上げている。科研費獲得額は私立大学3位、民間企業からの研究資金等受入額は国内7位など研究面の実績も向上しつつある。本郷・お茶の水地区の再編事業では自己資金中心に対応し、ピーク時400億円を超えた借入金を完済するなど、財務基盤の強化も進めた。
 総合大学化のさらなる拡充を目指して、健康データサイエンス学部と薬学部(仮称)の新設、キャンパス施設の拡充などの投資を進めている。加えて、2025年着工、2027年11月開院予定で、さいたま市において新病院(病床数800)設置を目指して、関連自治体と交渉を進めている。補助金などを活用できる可能性はあるものの、資金負担は小さくなさそうだ。財務構成は格付に見合わない状態が続きそうだが投資の一巡後は改善する見通し。今後の計画の進捗とともに投資回収の動向を確認していく。