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2023.05.23 (TUE)

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順天堂大学と株式会社関電工が共同研究講座 「遠隔医療・モバイルヘルス研究開発講座」を開設

順天堂大学(東京都文京区、学長: 新井一)と株式会社関電工(東京都港区、取締役社長:仲摩俊男)は、共同研究講座「遠隔医療・モバイルヘルス研究開発講座」を2023年3月1日付けで開設しました。

本講座では、遠隔医療を用いたSociety 5.0(※1)時代の医療を実現させることを目標として、モバイルヘルスをはじめとしたIoMT(※2)機器を活用した遠隔診療システムの構築を目指します。

順天堂✕関電工

■背景

近年、情報通信技術の発達により、医療のデジタル化や人工知能 (Artificial Intelligence, AI)を始めとした各種技術開発が急速に発展しています。内閣府は第5期科学技術基本計画において、Society 5.0という概念を提唱しました。Society 5.0で実現する医療においては、これまでの医療施設中心型の施設医療から、患者中心かつ日常生活圏における予見的・生涯的な医療ケアへのパラダイムシフトが起こるとされています。

新型コロナウイルス感染症の流行により、医療施設中心型の施設医療から遠隔医療への移行が求められています。また、スマートフォンやウェアラブルなどによるモバイルヘルス(※3)は、健康・ライフスタイルに関するデータの収集を可能とし、そこから生み出されるビッグデータをAIを用いて解析することで、個別化医療や遠隔診療に活用することが可能です。
しかし、モバイルヘルスを活用した遠隔医療を実現するためには、データの信頼性や妥当性を検証したり、遠隔医療のためのインフラの整備が必須です。

■研究の内容

本講座では、遠隔医療のニーズ調査、モバイルヘルスを用いた臨床研究、遠隔診療の実証実験そして遠隔診療インフラの開発と遠隔診療システムの標準化を目指します。
 ①遠隔診療の普及、アンメットメディカルニーズ(※4)を明らかにするための、遠隔医療のニーズ調査
 ②データの妥当性や信頼性を検証するための、モバイルヘルスを用いた臨床研究
 ③遠隔診療の有用性や信頼性、妥当性、限界を解明し医療の質の向上を図るための、遠隔診療の実証実験
 ④上記の研究成果を元に、遠隔診療システムの構築と標準化を可能とする、遠隔診療インフラの開発ならびに遠隔診療システムの構築

■今後の展望

新型コロナウイルス感染症の流行などにより、遠隔医療・デジタル医療のニーズは高まり続けています。
医工連携もクローズアップされる中、本講座の研究開発を進めるとともに、順天堂大学の医療分野、関電工のインフラ分野、各々の強みを活かし、Society 5.0時代の遠隔診療システムの実用化に向けた取り組みを加速させてまいります。また、異分野連携による教育を通じ医療イノベーション人材の育成にも注力してまいります。

■用語解説

※1 Society 5.0
内閣府が第5期科学技術基本計画において提唱した概念。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)と定義される

※2 IoMT (Internet of Medical Things)
医療機器とヘルスケアのITシステムをオンラインのコンピューターネットワークを通じてつなぐという概念

※3 モバイルヘルス
スマートフォンやウェアラブルデバイスといったモバイル端末を用いて行われる医療および診療行為のこと

※4アンメットメディカルニーズ
未だ満たされていない医療ニーズで、特にある病気について有効な治療法がない状態