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2023.06.29 (THU)

  • スポーツ健康科学部

eスポーツの〝オリンピック〟に沼野選手が出場 室内で行うデュアスロン

 国際オリンピック委員会(IOC)が主催するeスポーツの祭典「第1回オリンピックeスポーツシリーズ」が6月2225日にシンガポールで開催されました。IOCが国際競技団体やゲームメーカーなどと手を組んで開催した、本格的なeスポーツの国際大会です。会場のサンテック・シンガポール国際会議展示場はネオンで彩られ、近未来的な雰囲気に包まれました。

 公式種目は野球やテニス、ダンス、射撃など10種目。さらにエキシビションとして、卓球やバスケットボール、デュアスロンなど5種目が開催されました。デュアスロンとは、トライアスロンに似ていますが、スイムを行わず、第1ラン、バイク、第2ランで競います。そのデュアスロンに本学スポーツ健康科学部2年の沼野藍選手が出場しました。

写真1

デュアスロン種目の会場。選手と向き合う形で観客がおり、熱気に包まれた

◆室内で行うデュアスロン

 今大会のデュアスロン種目は、eスポーツとはいえ、コントローラーを使ったテレビゲームのようなものではありません。実際にトレッドミル(ランニングマシン)に乗って走り、ワットバイク(フィットネスバイク)を漕いで競う、かなり運動量の多い競技になります。

 モニター上にトレッドミルやワットバイクと連動した選手のアバター(ゲーム上のキャラクター)が映し出され、そのアバターが走ったり、バイクを漕いだりします。このアバターは実際の選手が走った分だけ、前に進みます。モニター上では他の選手のアバターも一緒に走っており、各選手の差が分かる仕組みになっています。またアバターが上り坂に差し掛かったときには、ワットバイクに負荷がかかって重くなり、実際に坂を走っているような感覚になる仕掛けも施されています。

◆アジアⅡチームは5位

 今大会は4人1組のチーム対抗で、各選手が第1ラン(750㍍)、バイク(6㌔)、第2ラン(750㍍)を行い、4人の合計タイムで順位を競いました。実際のデュアスロンはこの5倍以上の距離で行うため、かなり短く設定されています。日本からは沼野選手を含む男女2人が出場。シンガポールの男女2人と一緒に「アジアⅡ」というチームを組みました。

アジアⅡチーム

アジアⅡチームのメンバー。右から2人目が沼野選手

 他にはオセアニア、ヨーロッパ、北アメリカ、アジアⅠの各チームが出場し、計5チームで競いました。沼野選手は第2走者で、第1ラン、バイク、第2ランを計188秒で走破。他のチームの選手が強敵ばかりで同組では5番目でした。アジアⅡは5チーム中5位でフィニッシュ。最終走者が競技を終えると、熱気に包まれた会場から、大きな拍手が送られました。

ラン

ランの様子。トレッドミルの前方にも小さなモニターがあり、各選手はこれを見て他の選手との差を確認する

バイク

バイクの様子。各選手の前方には扇風機が備え付けられている

eスポーツ・デュアスロンの魅力

 室内で行うeスポーツ・デュアスロンは、天候の影響に左右されずに開催できるメリットがあります。交通規制など関係各所へ手配も必要ありません。また、選手の負担になっていたバイクの持ち運びも要りません。実際のデュアスロンでは、観客は通り過ぎる選手をわずかな時間しか応援できません。しかし、選手の位置が変わらない今大会は、観客はずっと目の前で選手を応援できます。選手の息遣いをスタートからゴールまで感じることができるのは、この競技の大きな魅力になります。

 一方、沼野選手によると、モニター上の景色が移り変わっていくとはいえ、実際に自分が街中を走っている感覚とは異なったといいます。いかに選手が没入感を得られるようにするかが、この種目の今後の課題になってくるかもしれません。

チーム集合写真

大会に出場した各国の選手たち

沼野選手のコメント

「会場の盛り上がりがすごかったです。通常のデュアスロンでは通過した瞬間だけの応援になってしまいますが、ずっと応援してもらっている感覚があって良かったです。室内で空調が整っており、暑さや天候に左右されずに開催できるのも良いと思いました。普段より短い距離だったので、あっという間に終わった感じです。初めてで良い経験になりました」