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2023.09.30 (SAT)

  • 保健医療学部

【保健医療学部リレーコラムvol.7】MRIで「視る」骨格筋の世界

 リレーコラム第6回を担当する診療放射線学科の渋川です。今回のコラムでは私の行っている研究や卒業研究ゼミ室の雰囲気を紹介したいと思います。多岐にわたる放射線医学の中でも私が最も好きな分野は「MRI」であり、研究のテーマでもあります。もともと大学病院で13年間診療放射線技師として従事してきましたが、その中でMRIの難しさや面白さに触れ、いつの間にか虜になっていました。MRIが医療の世界に登場したのは約40年前で、私と同世代になります。この40年で凄まじい進歩を遂げ、今や画像診断及び研究の世界でも欠かせないimaging deviceとなっています。
 さて、このMRIを利用して現在は骨格筋に関するMRIの研究を行っています。骨格筋には遅筋と速筋と呼ばれる二種類の繊維がありますが、これらを見分けることはMRIでは困難と言われていました。筋線維の種類を見分けることが出来ればスポーツ医学におけるトレーニング効果の診断やヘルスケアに貢献できる可能性があります。
 実はMRIは動きに弱く、長い検査の間はじっとしていなければなりません。そこで我々は撮像法や固定法を工夫し、運動を行いながら骨格筋のMRIを撮ることで筋線維の性状を詳しく「視る」ことが出来るのではないか?と検証しています。具体的には下腿骨格筋をターゲットに運動を行いながらMRIデータを取得しています。私の卒業研究室には7名の4年生が在籍しており、一緒に実験を行っています(図1)。皆で実験を行い、結果について考察しあったり失敗があった場合には次回の改善点を話し合ったりしています。私の卒研生はスポーツ医学に興味を持っている学生が多く、非常に積極的に卒業研究に取り組んでくれています。今年5月に行われた日本放射線技術学会 東京支部春期学術大会 で発表した学生は大会新人賞を受賞しました(図2)。今後はアスリートを対象としたスポーツ医学へ研究を拡張していく予定です。
 今後も国家試験合格を目指すと共に学生の皆さんにMRIの面白さを伝えていけたらと思っています。MRI、スポーツ医学、骨格筋メカニズムに興味がある方はぜひ順天堂大学のオープンキャンパスに一度足を運んでみてください。

リレーコラム渋川先生図1

リレーコラム渋川先生図2