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2024.02.22 (THU)

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自身の顔で動作を観察・イメージすることで運動学習が促進されることを発見 ―効率的な運動学習手法としてスポーツやリハビリテーションへの応用に期待―

順天堂大学スポーツ健康科学部 先任准教授 宮本直和、信州大学 繊維学部 先進繊維・感性工学科 教授 吉武康栄、早稲田大学持続的環境エネルギー社会共創研究機構 環境エネルギー研究所 次席研究員 渡邊裕宣らと産業技術総合研究所、東洋大学、鹿屋体育大学、奈良先端科学技術大学院大学の共同研究グループは、観察や運動イメージによって運動学習する際に、顔変換システム※1を用いて、熟練者の顔を観察者本人の顔に変換した変換像の動作を観ながら運動イメージを行うことで、大脳(皮質脊髄路※2)の興奮性が熟練者の動作を観るときよりも増加することを、脳神経活動の評価手法である経頭蓋磁気刺激(TMS)法※3を用いて明らかにしました。また、その大脳の興奮性は、変換像と本人の顔との類似性が高いほど増加することを明らかにしました。

今回の発見は、神経科学と情報工学技術とのコラボレーションにより、熟練者の動作を自身が行っているかのような動画を観察することで、脳レベルで運動学習を促進する可能性を示唆するものです。この運動学習システムが完成すれば、動作が下手・苦手であっても、より効果的に動作を習得できる可能性が拓かれます。

  

※1 共同研究者である奈良先端科学技術大学院大学 加藤博一教授らが作成したシステム。映像内で運動を行う熟練者の顔を観察者(学習者)の顔に変換する画像編集技術

※2 運動学習にかかわる脳の領域である一次運動野と脊髄をつなぐ神経回路

※3 頭に密着させた専用器具を用いて周辺磁場を変化させ、その電磁誘導によって脳の小さな標的領域を磁気で刺激することで、刺激部位の興奮性を評価する非侵襲的な方法です。TMSは研究だけではなく、うつ病やパーキンソン病への治療としても認可され臨床使用されています。

  

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図.本研究の概略
 
■論文情報

本研究成果は、国際神経科学雑誌「European Journal of Neuroscience」のオンライン版に2024年1月26日付で公開されました。

論文タイトル:Observing an expert’s action swapped with an observer’s face increases corticospinal excitability during combined action observation and motor imagery

著者:Hironori Watanabe, Sohei Washino, Shigehiko Ogoh, Naokazu Miyamoto, Hiroaki Kanehisa, Hirokazu Kato, Yasuhide Yoshitake*(*責任著者)

DOI:10.1111/ejn.16257

URL:https://doi.org/10.1111/ejn.16257

  

◆リリース原文はこちら

【プレスリリース】自身の顔で動作を観察・イメージすることで運動学習が促進されることを発見