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2018.06.15 ()
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患者さんやご家族に選ばれる順天堂の認知症治療 新井平伊教授(順天堂医院メンタルクリニック科長)

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患者さんやご家族に選ばれる順天堂の認知症治療

認知症が身近な病気となり、治療の難しさが広く知られつつある今、読売新聞の調査「病院の実力 認知症」(2015年10月4日朝刊)で順天堂大学医学部附属順天堂医院が認知症新規患者数の第1位にランキングされました。第2位も同じく附属病院の順天堂東京江東高齢者医療センターで、他の大学病院や総合病院を大きく上回る実績を挙げています。なぜ認知症に悩む患者さんやご家族が順天堂を訪れるのか? アルツハイマー病研究の権威であり、順天堂医院メンタルクリニックで外来も担当する新井平伊教授がその理由を語ります。

「認知症といえば順天堂」
そもそも順天堂が認知症に強い理由とは?

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順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパス(右2棟が順天堂医院)
順天堂大学では、かなり以前より認知症の研究と治療を積極的に行ってきました。ご存じのとおり、認知症は脳の病気です。私が所属する順天堂医院メンタルクリニックでは先々代の飯塚禮二教授が脳の神経病理を専門にされていましたし、脳神経内科では先々代の楢林博太郎教授がパーキンソン病の権威。このお二人がタッグを組み、高齢者の神経変性疾患の基礎研究と臨床研究を進められました。さらに脳神経外科では前理事長の石井昌三名誉教授が、高齢者医療を大きく展開された経緯があります。
このように各科の先生方がご自身の研究を発展させ、互いに協力し合って高齢者の脳の研究を進めたことが今に至っています。そもそも順天堂には「兼科」といって、診療科をまたいで1人の患者さんを担当させていただく伝統があります。ですから認知症の研究・治療についても、複数の科の総和として強みが増したのだと思います。いずれも短期間でできるものではなく、2世代前3世代前からの蓄積が、「認知症といえば順天堂」という評価につながっているのでしょう。

順天堂の強み①
予約なしでも初診患者を受け入れ、早期治療をスタート

まず、患者さんの立場から見た、認知症治療における順天堂の強みをご紹介していきましょう。
1つ目の強みは、なんといってもメンタルクリニックの初診が予約制ではないことでしょう。他の大学病院のメンタルクリニックは、初診は予約制にされているところがほとんどです。ところが、順天堂は予約なしでも初診の患者さんを受け入れ、診療をさせていただいています。認知症を疑って病院へ行くのは、ご本人にもご家族にも勇気が必要なこと。順天堂では患者さんが「診てほしい」と思われたタイミングを逃さず、後日へ先送りしないため、早期治療をスタートできるのです。これは順天堂の基本的姿勢である「優しい医療」の表れだと思います。
※若年性アルツハイマー病専門外来は要予約。

順天堂の強み②
認知症専門医が多く、「治せる認知症」を的確に診断

いわゆる認知症の専門医とは、日本老年精神医学会と日本認知症学会がそれぞれ認定するものです。順天堂の附属病院に所属する認知症専門医は、前者が20名で後者が21名。いずれも他の病院を圧倒する多さです。
なぜ専門医が重要かというと、最初の診断で「治せる認知症」を見過ごさないためです。実は慢性硬膜下血腫や甲状腺機能低下症などの治せる病気でも、もの忘れの症状が出ることがあり、認知症と間違えられることがあります。
また、若年性アルツハイマー病やレビー小体型認知症の初期症状として、うつ病が現れることがあります。そのため、背景にある認知症が見過ごされ、うつ病と診断される可能性があります。
最初の鑑別診断で間違えないのが専門医の力量。認知症を疑われたら、ぜひ専門医に診ていただくことをお勧めします。

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読売新聞「病院の実力 認知症」(2015年10月4日朝刊)
  • 日本老年精神医学会専門医数は、順天堂医院が第1位(9名)、順天堂東京江東高齢者医療センターと順天堂越谷病院が第2位(5名)にランキング。
  • 日本認知症学会認定専門医数は、順天堂医院が第1位(11名)にランキング。

順天堂の強み③
他の診療科とスムーズに連携し、早期治療へ

3つ目の強みは、他の診療科との共同診察が得意であることです。ご存じのとおり、順天堂にはさまざまな診療科があります。前述のように認知症以外のもの忘れとわかったとき、他の診療科とスムーズに連携して手術や治療へと進めることができます。もちろん、ここでも早期発見・早期治療が理想であることは言うまでもありません。

順天堂の強み④
薬だけに頼らず、非薬物療法との併用で生活の質を保つ

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順天堂東京江東高齢者医療センター
認知症の治療法といえば薬を服用するイメージが強いかもしれませんが、実際の治療では薬を使わない非薬物療法も大きなウェートを占めています。
そもそも認知症には中核症状と周辺症状(BPSD)があります。中核症状とは、もの忘れや認知機能の低下のことを指し、おもに薬物療法を中心に治療します。一方、周辺症状には徘徊、昼夜逆転やイライラなどがありますが、ご本人の生活の質やご家族の介護負担を考えると、中核症状より周辺症状の方が余程深刻です。要はご本人の心が穏やかに安定していることが大切で、順天堂ではそのために臨床心理士がじっくり悩みをお聞きしたり、運動やゲームなどのリハビリを勧め、ご本人の意欲低下を防ぐよう地域包括支援センターやケアマネジャーと連携したりします。
私たちは薬物療法に頼り過ぎず、非薬物療法をうまく併用して、ご本人とご家族の生活の質を保つことを目標としています。附属病院では認知症の家族会も活発で、臨床心理士がご家族と密に関わっています。

順天堂の強み⑤
若年性アルツハイマー病専門外来が患者さんとご家族をサポート

順天堂医院は国内でいち早く、1999年に若年性アルツハイマー病専門外来を立ち上げ、すでに20年近い治療実績を持っています。
40代50代でアルツハイマー型認知症になられると、患者さんはもとよりご家族のダメージがとても大きいもの。まだ成人されていないお子さんがおられたり、ご両親がご健在で病気を嘆かれたりしますから。患者さんができる限り仕事を続けられること、1日も長く元気な状態を保っていただくことを目標に、私たちはご家族も含めて専門外来でサポートしています。

順天堂の強み⑥
大学病院では国内最大級の病床数。臨床データや医師の経験も蓄積

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順天堂の強みはまだまだあります。
6つの附属病院があり、すべての病床数を合わせると3,400床以上の入院患者さんを日々診療していることも大きな強みでしょう。これは全国の大学病院の中でも最大規模で、その分医師はさまざまな臨床の症例を診る機会があり、臨床データも蓄積されていきます。また、医師は多くの経験を積むことができますし、医学部生も質の高い卒前・卒後教育を受けることができます。大学でつねに臨床を視野に入れた研究ができる環境が整備されています。
小川秀興理事長の強いリーダーシップのもと、教職員が一丸となって教育・研究・診療に邁進できていることも大きな強みでしょう。医学部以外に看護学部やスポーツ健康科学部があることも、超高齢社会に生きる人々の健康づくりに役立つはずです。

認知症になる前の軽度認知障害にも対応。
「認知症は治らない」という誤解を解きたい

認知症も他の病気と同様に、早期発見・早期治療が大切です。よく言われるのが、「認知症は治らない」という誤解です。確かにアルツハイマー型認知症では進行を遅らせる薬物療法や薬の副作用がクローズアップされがちです。しかし、認知症になる前の軽度認知障害(MCI)のうちに気付いて治療を始めれば、認知症の発症を遅らせることができるのです。最近ではインターネットなどを通じて認知症の情報が一般の方々に広がっていることもあり、順天堂でも「最近もの忘れが増えている。自分はMCIではないか?」と受診される方が増えてきました。
もしMCIと診断されたら、まずは生活習慣を見直すことをお勧めしています。糖尿病・高血圧症などの生活習慣病があれば、治療に専念する。睡眠・食事・運動・タバコ・お酒について、生活習慣を改める。それだけでMCIがかなり改善することがわかっています。
さらにMCIの前段階のSCD(Subjective Cognitive Decline)の患者さんも、順天堂で対応しています。SCDとはもの忘れなどの自覚症状はあるものの、心理検査をしても認知機能の低下が認められないもの。MCIもSCDも診断することが重要なのではなく、診断後にどう治療し生活の質を保つのかが重要であり、順天堂は患者さんとともに考えることに力を入れています。

認知症1000万人社会を見据えて――
大切なのは病気への偏見をなくし、正しい知識を持つこと

国内の認知症患者数は2025年に700万人を突破すると予測されています。1000万人を超える日もそう遠くないでしょう。
認知症の方々とともに暮らしていく社会では、病気の正しい知識を持ち、認知症への偏見をなくすことが重要です。いつもお話するのですが、認知症になったからといって、人格全てがなくなるわけではありません。仮に脳の5%の働きが悪くなったとしても、残り95%が健常なら、自立して生活してくことが可能です。認知症と診断されても、患者さんの中では人生の喜びや感動、細やかな心の動きや人への思いやりなどが息づいているのです。私たちは病気を診断する立場ですが、診断はあくまでもスタート地点。患者さんとご家族に寄り添って、その後の人生を充実させていくお手伝いをさせていただいています。

最後に医師を目指す受験生へ――
受験勉強は医師になるための助走期間

医学部の受験勉強は大変でしょうが、将来医師になるための判断力や適応力を伸ばす、いい機会でもあります。入学後は医学を学びながら、部活動やボランティア活動などで視野を広げてほしいですね。
医学を学べるのは、実はとても幸せなことなのです。ごく普通に真面目に仕事をするだけで、これほど人から感謝される仕事は他にありませんから。学生時代にぜひこの喜びを感じ取っていただきたいですね。

1978年順天堂大学医学部卒業、1984年順天堂大学大学院修了(医学博士)。
東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員を経て、1990年順天堂大学医学部講師。1997年順天堂大学医学部精神医学講座教授。現在は順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授、順天堂大学医学部附属順天堂医院メンタルクリニック科長、順天堂大学医学部附属順天堂医院認知症疾患医療センター長。

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順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学 
新井 平伊  教授