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2020.09.03 (THU)

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ドライアイを5分でチェックできる研究アプリ「ドライアイリズム®️」のアンドロイド版とiOSのアップデート版を同時リリース

順天堂大学(学長:新井 一)医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らの研究グループは、ドライアイや眼精疲労といった症状と生活習慣の関連性を明らかにするためのiOS版アプリ「ドライアイリズム®」を2016年11月2日に公開していましたが、この度、新たに機能を追加したアンドロイド版の開発とiOS版のアップデートを行い、2020年9月1日に公開しましたのでお知らせします。今回、アプリ利用者のドライアイの状況を見える化した「みんなのドライアイマップ」機能やドライアイの症状を記録できるダイアリー機能を新たに搭載しました。
また、英語版についても、2017年11月に公開したiOS版のアップデートを行うとともに、アンドロイド版についても公開を予定しています。ドライアイは世界で10億人以上が罹患していると推測されていることから、国内外で利用できるアプリとすることで、ドライアイ研究における世界規模のビッグデータの収集・解析を目指しています。

ドライアイリズム

「ドライアイリズム®️」とは?
「ドライアイリズム®」は、順天堂大学医学部眼科学講座によるドライアイ研究ビッグデータの基盤となるアプリです。ドライアイに関する自覚症状アンケートやまばたき計測、生活習慣等に関するユーザーの情報を収集することにより、多様なドライアイ症状の層別化や発症要因の解明等の研究に役立てることを目的として開発されています。

ドライアイリズム®の主な機能

「ドライアイリズム®」は、ドライアイや眼精疲労といった目の症状をドライアイスコアという形でチェックすることができます。今回、ドライアイスコアの表示画面をアップデートしたことで、ドライアイの状態がよりわかりやすく確認できるようになりました。また、ドライアイと生活習慣の関連を明らかにするため、モニター作業の時間、睡眠、歩数といった個々人の生活習慣も同時に計測しています。
<画面イメージ>

ドライアイリズム画面

まばたきの回数やドライアイ診療用アンケートを通して、日々のドライアイ指数を見える化できます

まばたき測定

まばたき測定によるドライアイチェックが可能

みんなのドライアイマップ

新たに搭載された「みんなのドライアイマップ 」

iOS版 (iPhone版)の成果

2016年11月にリリースされたiOS版ドライアイリズム®️は、これまでに23,780ダウンロード(2020年8月1日現在)されています。
本アプリを用いたこれまでの研究から、ドライアイの重症化因子として、性別(女性)、膠原病、花粉症、うつ病、現在のコンタクトレンズの装用、長時間のモニター作業、喫煙が明らかになりました(Ophthalmology, 2019)。また、ドライアイの未診断者の特徴(若年齢、男性、膠原病・精神疾患・眼手術歴の既往がないこと、コンタクトレンズの装用経験がないこと)についても明らかにしています (JAMA Ophthalmology, 2019)。
今回、新たにアンドロイド版を開発・公開したことで、より広い対象の方に利用いただけることができるようになりました。これにより、研究参加者の偏りを減らすことが可能となります。

研究代表者コメント(順天堂大学医学部眼科学講座 准教授 猪俣 武範)

ドライアイは日本に2,200万人、世界に10億人いると推測されている最も多く一般的な眼科疾患の1つです。ドライアイに罹患すると、乾燥感、眼痛、眼精疲労などによる視覚の質の低下や労働生産性の低下を起こすことが明らかになっています。一方で、未だに多くの人がドライアイの自覚症状を呈しているのに、診断されていない「ドライアイ未診断者」であることが、これまでの私たちのグループの研究から明らかになりました(JAMA Ophthalmology, 2019)。
ドライアイは根治療法が未だに見つかっていないため、症状があれば治療し続けることが大切です。そのため、普段の症状やその変動について可能な限り正確な情報を集め、症状が出る前に予防することや、重症化を防ぐことが求められます。今回の「ドライアイリズム®️」アンドロイド版は、全ての方に眼の健康を届けたいという思いから、従来のiPhone版に加えて開発したものになります。

順天堂_猪俣武範准教授

猪俣 武範 准教授

■ 研究の意義

日常生活における生活状況や周囲環境の変化が、疾患に及ぼす影響について包括的に検討できる新しいタイプの臨床研究です。

■ 特記事項

本アプリケーションで実施する臨床研究については、すべて本学倫理委員会の審査を経て正式に承認されています。
本アプリは臨床研究におけるデータ収集用に専用開発されたものであり、それ以外の目的の使用を意図していません。研究参加によるいかなる健康被害、および機器破損に対しては補償できません。
本研究の被験者はスマートフォンユーザーに限られるため、所有ユーザー層によるバイアスがかかる可能性があります。

■プライバシーと安全性について

収集されたデータは、個人の特定に結びつく情報を一切持たないため、万が一漏洩しても個人の権利や財産の損害に結びつくことはありません。研究への参加は自由意思によるものですので、いつでも研究への参加を中止することができます。研究の協力にあたり、利害および費用の負担は一切発生しません。
また本研究は問診を中心とした疫学的観察研究であり、何らかの身体負荷がかかる介入は一切ありません。

■データの扱いについて

ご協力によって得られた研究成果、および収集されたデータは、それぞれの疾患の早期発見、診断、治療の研究に役立てるため、学会発表や学術雑誌などに公表されることがあります。 また、この研究のために集めたデータを別の研究または開発に利用する場合があります。今はまだ計画・予想されていないものの、将来、非常に重要な検討が必要となるような場合です。研究から生じる知的財産権は、順天堂大学に帰属します。

■対象について

アンドロイドならびにiPhone上のアプリ内で同意を得た方のみを対象としています。

■アプリケーションのダウンロードについて

Google Play、App Storeから、無料でダウンロードいただけます。
・Google Playストア:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.juntendo.dryeyerhythm
・App Store:https://apps.apple.com/jp/app/doraiairizumu/id1164781008?l=ja&ls=1

■協賛ならびに研究助成金

本研究は、科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム 令和2年度 COI若手連携研究ファンドデジタル分野連携研究、2019年度公益財団法人ダイオーズ記念財団助成金、順天堂大学2019年度プロジェクト研究費による研究助成をうけました。また、株式会社シード、アルコンファーマ株式会社、参天製薬株式会社、ロート製薬株式会社の助成を受け実施されました。しかし、研究および解析は研究者が独立して実施しており、助成元が本研究結果に影響を及ぼすことはありません。本研究にご協力いただいた参加者の皆様に深謝いたします。
<関連URL>
■「ドライアイリズム」ホームページ: https://dryeyerhythm.jp/

■ドライアイの自覚症状の重症化と抑うつ症状は関係する
 ~iPhoneアプリ「ドライアイリズム®」を用いた医療ビッグデータによる臨床研究から~(2020.3.27)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200327-01.html

■ドライアイ未診断者を特定し、その危険因子を明らかに
~ iPhoneアプリ「ドライアイリズム®」を用いた医療ビッグデータによる臨床研究 ~(2019.11.29)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20191129-03.html

■世界初!iPhoneアプリ「ドライアイリズム®」を用いてドライアイ重症化危険因子を明らかに(2019.1.23)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20190123-01.html

■ドライアイのセルフチェックに有用な最大開瞼時間を検証
~ 12秒間まばたきを我慢できない場合はドライアイの可能性 ~(2018.10.10)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20181010-07.html

■ドライアイアプリ「ドライアイリズム」の米国版をリリース(2017.11.22)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20171122-01.html

■世界初! スマホアプリでドライアイ指数をチェック
~順天堂大学眼科×iPhone でドライアイのビッグデータ解析~(2016.11.2)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20161102-01.html