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2022.04.08 (FRI)

  • 順天堂大学について

超音波センター開設

~効率的かつ質の高い診療の提供を行うために、超音波検査を集約化~

順天堂大学医学部附属順天堂医院(院長:髙橋和久)は、同病院1号館2階に「超音波センター」(センター長:椎名秀一朗、副センター長:齋浦明夫、丸山紀史)を開設しました。当院ではこれまで、超音波検査は診療科毎で分散して行っていましたが、各診療科の超音波検査をセンター化することで、検査に関わるスタッフと超音波装置の効率的な運用が可能となります。これにより、検査数の増加を図るとともに、病気の早期発見、早期治療に貢献します。また、超音波検査を行うスタッフが意見を交換しながら検査をすることで、技術のレベルアップにも繋がると考えています。

超音波検査とは

超音波検査は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波を対象物に当ててその反響を映像化する画像検査法です。超音波検査は体に負担のない検査法であり、さらにレントゲン検査などとは異なり放射線に被曝することもありません。
腹部超音波検査では一般的には肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・脈管系(下行大動脈・下大静脈・腎動脈)などの腹腔内臓器を検査します。時に骨盤内臓器(膀胱・前立腺・子宮・卵巣)も観察します。
超音波検査の際には検査用ベッドに横になってもらい、皮膚にゼリーを塗りプローブを当てながら行います。 検査時間はだいたい10~20分くらいです。

超音波センターの特長

超音波センターは、患者さんがアクセスしやすいように消化器内科や消化器外科の外来と同じフロア(1号館2階2D)に近接して設置し、全体で108平米、検査ブースは9室あります。
受付の先に検査ブースが並び、ブース内には超音波装置と検査用ベッドがあります。 部屋の左側には医療情報端末と高精細モニターが置かれており、電子カルテと画像を参照しながら検査を実施することができます。また、検査ブースとは別に報告書作成スペースがあり、超音波検査実施後、スタッフは検査ブース内にとどまらず、このスペースに出て報告書を作成することができます。それにより、検査終了後速やかに別のスタッフが次の検査を始めることができ、その結果、検査ブース内で報告書を作成する場合と比べて約1.5倍の検査を実施できることになります。
さらに、予約外や緊急での検査依頼についても迅速に対応できる体制をとっています。

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電子カルテと画像を参照しながら、検査ができる検査ブース

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検査数増加のため、検査ブースとは別に報告書作成スペースを設置

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受付の先には検査ブースの入口が並ぶ

開設からの稼働状況

現在1日 40件強の 超音波検査を実施しており、昨年と比べて35%増加しています。しかし、検査枠にはまだ余裕があり、特に、これまで当院では午後に超音波検査をすることがなかったため、午後の検査申し込みが多くない状況です。年間98万4千人という当院の外来患者数を鑑みても、検査数はさらに増加していくものと考えられます。

今後の展開

今後は、各診療科から検査オーダーが出るのを待つだけでなく、 超音波検査の潜在的なニーズを見つけ出していく必要があります。例えば、糖尿病患者さんでFIB-4 Index 2.67以上は肝癌の高危険群(年発癌率0.6%)であり、3~4ヶ月毎に腹部超音波検査が必要と考えられます。また、大腸癌、胃癌、胆膵癌切除後の肝転移再発のスクリーニングには CTやMRI だけでなく造影超音波も実施したり、高血圧症の患者さんでは腎血管性高血圧(高血圧症全体の1~4%)を発見するために超音波検査を実施したりする必要があります。
上記以外にも超音波検査の潜在的ニーズを見つけるために、各診療科と連携し、体制整備に努めてまいります。
センター長 椎名 秀一朗医師のコメント

この度、順天堂医院に超音波センターを開設しました。超音波検査は侵襲がなく、放射線を使用するレントゲンやCTとは異なり被曝もありません。繰り返し実施できるため、経過観察などにも有用です。腎機能障害や造影剤アレルギー、喘息などで造影CTやMRI が実施できない場合でも実施可能です。超音波検査の短所として担当者の技量により診断能が影響されるということがあります。しかし、センター化により技術の均てん化を図ることが可能です。
超音波医学は順天堂の故和賀井敏夫教授により確立されました。順天堂の超音波検査が再び注目されるよう頑張ります。超音波センターがより積極的に、効果的に活用されるよう、ご意見やご要望などお知らせください。
1号館2階フロアマップ

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