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2022.06.13 (MON)

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順天堂大学×清水建設【Pandemic Ready共同研究講座】アフター/ウイズ・コロナ時代の新たな住まいを提案

~ニューノーマルハウジングwith P.R.で家庭内感染対策を先取り~

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清水建設(株)<社長 井上和幸>は、順天堂大学大学院医学研究科に共同研究講座として開設している「Pandemic Ready共同研究講座」(研究代表:大学院医学研究科感染制御科学 教授 堀賢)と協働し、アフター/ウイズ・コロナ時代における集合住宅の在り方として、家庭内感染や在宅勤務に対応した新たな集合住宅プラン「ニューノーマルハウジング with P.R.(Pandemic Ready)」を提案します。1LDK以上の住戸から適用可能で、清水建設(株)と山口銀行が共同開発を進める集合住宅への適用に向け、設計検討に着手しています。
昨今、自宅療養を行う新型コロナウイルス・オミクロン株感染者の増加により、家庭内感染が社会問題化しており、効果的な感染対策が求められています。一方で在宅勤務や授業のオンライン化により住まいでの過ごし方は多様化、長時間化しており、従来の間取りと換気設備では感染対策として有効な動線分離や排気経路の確保が難しい状況にあります。ニューノーマルハウジングwith P.R.はこうしたニーズに対応した集合住宅プランで、最大の特徴は、家族に感染者が出た場合、感染リスクを低下させるゾーニングと気圧調整が可能なことです。

ゾーニングは、健常者と感染者の居住域を区分けできる平面プランで、健常者専用「グリーン」、感染者専用「レッド」、両者共用「イエロー」の3つのゾーンからなります。玄関側から見ると、玄関片脇に設ける独立居室がレッド、玄関、廊下、廊下を挟んで独立居室の対面に設ける浴室、脱衣室、洗面室、トイレがイエロー、廊下の先に扉を隔てて設ける居間、食堂、台所、居室、ワークスペースがグリーンとなります。このゾーニングが両者の接触機会を減少させます。

ゾーン間には気圧調整により気圧差を保ち、高い順にグリーン、イエロー、レッドとすることで、ウイルス・細菌を含む可能性がある空気の逆流を防止します。気圧調整の仕組みはシンプルで、各ゾーンの給排気量を調整することで気圧差を保ち、住戸内の気流を制御します。また、健常者があやまってグリーンゾーンにウイルス・細菌を持ち込むことを防止するために、イエローゾーンでは手指消毒や健常者と感染者のタオルの使い分けなどの住まい方を促すとともに、手の平を使わず開閉できるドアノブなどを採用します。
このように、ニューノーマルハウジングwith P.R.は、ウイルス・細菌を家庭内に持ち込まない、感染者を安全に隔離する、ウイルス・細菌を含む可能性がある空気を逆流させない、という家庭内における感染対策の“3原則”を実現するとともに、ニューノーマル時代の新しい過ごし方に対応したプランになっています。感染制御の第一人者である順天堂大学大学院の堀賢教授から、「住宅らしく自然な設えでありながら、感染対策の配慮がわかりやすく行き届いている」との評価をいただいています。

毎年流行するインフルエンザやノロウイルス感染症に限らず、今後も到来が予想される未知の病原体によるパンデミックの脅威から、感染リスクの低減を図る建物のプランニングの重要性は高まる一方です。当社は引き続き、集合住宅はもとより、オフィスやホテル、商業施設などに至るまで、用途に応じた効果的な感染症対策と多様なライフスタイルを可能にする環境を提案していく考えです。

≪参 考≫
▮ニューノーマルハウジングwith P.R.の基本プラン

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▮ニューノーマルハウジングwith P.R.のコンセプト

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▮堀賢 教授
(1966年生まれ)
博士 (医学)
順天堂大学医学部大学院医学研究科感染制御科学 教授
同Pandemic Ready共同研究講座 担当教授
専門分野‐感染制御、感染対策、医療関連感染症
※受賞学術賞
2004年~2008年 文部科学省21世紀Center of Excellence Program採択
2004年 英国Infection Control Team of The Year 審査員奨励賞受賞
2011年 英国Hospital Infection Society学会賞(Lowbury Lecture)受賞
2011年 日本環境感染学会学会賞(優秀論文賞)
2018年 空気調和・衛生工学会 学会賞(技術賞)
2018年 ノルウェーInternational Federation of Hospital Engineering, International Building Award (Runner-up)