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2022.10.20 (THU)

  • 順天堂大学について

高齢者に特有の“めまい”“ふらつき”を専門に治療。順天堂東京江東高齢者医療センター「めまいリハビリ入院」プログラム

順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター(院長:宮嶋雅一)では、耳鼻咽喉科(特任教授:池田勝久)とリハビリテーション科(科長:高倉朋和)が共同で、ゆるやかに進行する高齢者特有の持続性の“めまい”や“ふらつき”を専門に治療する2泊3日の「めまいリハビリ入院」プログラムを設置しています。これまでに17名が本プログラムを受け、検査の結果、めまい・ふらつきの原因や関連因子として、サルコペニア(65%)、睡眠時無呼吸(52%)、両側前庭障害(35%)、周期性四肢運動障害(18%)であることがわかり、それぞれの原因に応じた治療を行ってきました(2022年9月30日現在)。

「めまいリハビリ入院」プログラムの意義・ポイント

加齢による平衡障害の特徴はゆるやかに進行する持続性のふらつき感、姿勢や歩行の不安定性、転倒などがあります。その原因としては、内耳の平衡器官、視力、筋肉などの機能低下、認知能力の低下、睡眠障害などの様々な要因が挙げられており、その病態も非常に複雑です。「めまいリハビリ入院」では、各患者さんの加齢性平衡障害の原因を種々の検査によって明らかにして、その原因に応じた個別の平衡訓練プログラムを作成し、自宅でも継続して実践できるようにリハビリの指導を行います。めまいや平衡障害に関連した「転倒・転落」事故は社会的な問題にもなっていることから、その予防に貢献することが期待されます。
  • ゆるやかに進行する高齢者特有の持続性の“めまい”や“ふらつき”を専門に治療。
  • 社会的な問題となっている高齢者の「転倒・転落」事故の予防にも有用。

高齢者に特有の“めまい”“ふらつき” ~入院プログラム設置の背景~

高齢者にみられるめまいの原因には、良性発作性頭位眩暈、メニエール病、起立性調節障害、中枢性めまいなどが挙げられます。一方で加齢による平衡障害の特徴には、これらの疾患によるめまいと異なり、ゆるやかに進行する持続性のふらつき感、姿勢や歩行の不安定性、転倒などがあります。
日常生活の活動が制限されるほどのめまいやふらつき感を理由に医療機関を受診される方は、60歳以上で20%、70歳以上で30%、80歳以上で50%となり、高齢になるほど非常に高率で発症している症状です。
原因として、①内耳の平衡を司る三半規管などの平衡器官の両側の機能低下に加えて、②加齢性の視力低下による視覚の情報低下、③筋肉、靭帯、関節などの体の維持や歩行に必要な器官の加齢変化、④脳の加齢変化によるバランスの認知能力の低下、⑤睡眠障害やそれに伴う睡眠時無呼吸による脳の認知、内耳の平衡器官、網膜、筋肉などの機能低下などの要因が挙げられており、病態も非常に複雑になっています(右図)。また漫然と投薬されている抗めまい剤は眠気や認知機能障害を引き起こす場合もあります。

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検査・治療の概要

順天堂東京江東高齢者医療センターでは、加齢性の平衡障害の原因を明らかにして、その原因別の治療法を提供するために、2021年12月から「めまいリハビリ入院」プログラム(2泊3日)を開始しています。検査内容として体組成計測、平衡機能検査、脈波、心電図、呼吸機能、視力検査、睡眠検査を含み、治療の内容としては前庭リハビリテーション、栄養指導などから構成されています(下図)。
これまでに本プログラムを受けた17名の症例(60歳代:1名、70歳代:5名、80歳代:11名)の解析結果から、めまい・ふらつきの原因や関連因子として、サルコペニア(65%)、睡眠時無呼吸(52%)、両側前庭障害(35%)、周期性四肢運動障害(18%)があることもわかりました。サルコペニア(加齢による筋肉量の減少と筋力の低下)には下肢の運動療法や栄養指導、両側前庭障害には前庭リハビリテーションの指導、睡眠時無呼吸や周期性四肢運動障害には持続陽圧呼吸療法や薬物治療を施行します。

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「めまいリハビリ入院」プログラムについて
  • お問い合わせ先:順天堂東京江東区高齢者医療センター耳鼻咽喉科外来(TEL:03-5632-3111)
  • 入院費用:2割負担の場合で約3万円程度
<関連リンク>
順天堂東京江東高齢者医療センター:https://hosp-gmc.juntendo.ac.jp/index.html
順天堂東京江東高齢者医療センター耳鼻咽喉科:https://hosp-gmc.juntendo.ac.jp/clinic/surgery/otorhinolaryngology.html