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2024.11.29 (FRI)

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埼玉県浦和美園地区病院の整備計画中止について

本学は、埼玉県と共に浦和美園地区に開設を検討していた(仮称)国際先進医療センター(800床)の病院建設計画を断念し、令和61129日付で埼玉県に病院整備計画中止届を提出いたしましたので、お知らせいたします。

 

1.(仮称)国際先進医療センターの病院建設計画中止に至る経緯について

 平成2610月に埼玉県が公募した病院整備計画に関し、平成273月に本学の病院整備計画が埼玉県により承認されました。その後、平成30年に埼玉県と病院整備に関する確認書を締結し、病院の建設予定地の土地整備の問題やコロナ禍の影響もありながらも計画策定及び設計作業に取り組み、令和74月の着工、令和911月の開院を目指して全力で取り組んでまいりました。
 本年7月に施工会社による設計の結果、概算工事費が算定されましたが、建築業界の急激な需要増や資材の高騰に加え、深刻な人手不足などの要因も重なり建築費が大幅に高騰し、さらにその他の費用も上昇した結果、総事業費が当初平成27年に予想した規模の2.6倍にあたる2,186億円に達することが明らかになりました。

 

HPお知らせ画像20241127②

 

 一部の報道にもありますように、現在、新型コロナウイルス感染症の流行による病院運営への負の影響や、先進的な医薬品・診療材料の価格高騰などが原因で、多くの国立大学病院や都立病院では収支が赤字となり、その赤字幅が拡大する厳しい状況にあります。この厳しい状況は本学にとっても例外ではなく、令和6年4月から施行された医師の働き方改革への対応も含め、6つの医学部附属病院を抱える本学は、かつてないほどの厳しい財政状況に直面しています。
 このような状況に対し、本学は全法人をあげて改善に取り組んでおりますが、現在の診療報酬の下では急速な大幅増益が見込めないことから、当該事業に充当する予定の準備資金の確保及び開設後の運営資金の捻出することが難しい事態となりました。
 このため計画の見直しを行い、事業費を抑えるために予定していた看護系学部の開設や宿舎の整備・大学院棟の建設を先送りにし、まずは医師派遣の拠点となる病院棟と陽子線棟の建設を優先することにして、また病院棟の規模も当初予定していた800床から500床程度に縮小する計画案を検討いたしました。その上で新病院の開院後の事業性についての検討を行いましたが、建築費の高騰に加え現在さらには今後も続くであろう医療を取り巻く厳しい環境を鑑みると、上記計画案の見直し等の諸検討によっても、埼玉県民の皆様に貢献することができるための最先端医療機能を備え、かつDXを活用した未来型基幹病院の開設は到底困難な見通しであることが明らかとなりました。

 

2.結論として

 

本学は、当地における病院開設に向けて、上記のとおり種々の検討を尽くしてまいりましたが、以上の事情により計画を断念せざるを得なくなりましたことは、本学にとって断腸の思いであります。
 これまで本計画の実現に向けてご協力いただいてきた埼玉県の大野元裕知事そしてさいたま市の清水勇人市長をはじめ多くの関係者の皆様、そして病院開設に大きな期待を寄せていただいた埼玉県民の皆様には、ご期待に沿えない結果となり心よりお詫び申し上げますとともに、本計画を断念せざるを得なくなった上記諸事情につきご理解をいただきますようお願い申し上げます。

 

以上

令和6年11月29日
順天堂大学