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2026.09.03 (THU)

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順天堂大学発の研究チームが「XPRIZE Healthspan」決勝進出 ~世界20チームのファイナリストに選出~

順天堂大学(学長:代田浩之)大学院医学研究科の堀江重郎特任教授(創造長寿医学講座)が代表を務める研究グループ「Japan Longevity ConsortiumJLC)」は、国際科学技術コンペティション「XPRIZE Healthspan」において、ファイナリスト(決勝進出20チーム)に選出されました。

本コンペティションは、XPRIZE財団が主催し、人の健康寿命(Healthspan)を大幅に延ばす医科学的アプローチを競うものです。総額1100万ドル(約156億円)の賞金をかけて2023年に開始され、58か国から600を超えるチームが応募しました。20255月の世界40チーム選出を経て、今回20チームに絞り込まれました。JLCには、順天堂大学、東京大学、国立精神・神経医療研究センター、国立感染症研究所の研究者に加え、臨床医、エンジニア、作業療法士、シェフ、俳優、ダンスやヨガのトレーナーなどが参画しており、ヤマハ音楽振興会とも提携しています。

ポイント

  • 順天堂大学発の研究グループが国際科学技術コンペティション「XPRIZE Healthspan」において、ファイナリスト(決勝進出20チーム)に選出
  • 本コンペティションは、人の健康寿命(Healthspan)を大幅に延ばす医科学的アプローチを世界で競うもので、58か国・600を超える応募から20チームに絞り込まれた
  • JLCは禅の生活様式に着想を得た健康プログラム「Scientific Zen」を開発。決勝では120名を対象としたランダム化比較試験を実施し、筋肉機能・認知機能・免疫機能の3領域で10年以上の若返りを目指す
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■背景 

XPRIZEは米国に拠点を置く賞金型の国際研究開発プラットフォームであり、「課題解決型イノベーション」を促進することを目的としています。参加者は技術・科学・社会の課題に対して成果を競い、達成度に応じて高額の賞金が授与されます。これまでに宇宙探査、海洋探査、炭素除去、教育など多岐にわたるテーマが扱われてきました。XPRIZE Healthspanは、加齢のメカニズム解明やバイオマーカーの進歩を背景に、科学的根拠に基づいた介入で健康寿命の延伸に挑む初のグローバルな競争的研究です。決勝に進出した20チームは、2030年の最終審査に向けて臨床試験を実施し、その成果は全チーム共通の評価基盤のもとで比較されます。

(詳細はhttps://www.xprize.org/prizes/healthspan を参照)

JLCの取り組みの出発点にあるのは、禅僧の死亡率に関する疫学研究です。日本人男性の禅僧4,352名を24年間追跡した調査では、一般の日本人男性集団と比べて全死因の標準化死亡比が0.82、すなわち死亡率が約18%低いことが報告されています(Ogata M, Ikeda M, Kuratsune M. J Epidemiol Community Health. 1984;38:161-166)。坐禅・食事・作務・読経といった禅の生活様式のどこに健康長寿の要因があるのかを現代の計測技術によって解き明かすことが、本プログラムの着想の原点となっています。 

■プロジェクトの内容

Scientific Zen ― 禅の生活様式を科学で再設計する

JLCが決勝で提供するプログラムを、Scientific Zen(サイエンティフィック・ゼン)」と呼んでいます。本プログラムは、深い没入状態である「Flow(フロー)」を、気分ではなく誘導・定量・調整が可能な生理学的状態としてとらえる点に特徴があります。脳波(EEG)による独自のフロー指標と心拍変動の連続測定を組み合わせ、介入の強度をリアルタイムに調整します(特許取得済)。Scientific Zenは、このフロー誘導を軸とした次の5つのモジュールで構成されます。

  • 運動(レジスタンス・有酸素)
  • 食事指導(和食ベースの食事+緩やかな断食)
  • 合唱(神経同期の誘導)
  • 認知ワーク(適応的な注意負荷)
  • AIによる在宅伴走支援

決勝では、120名を対象にScientific Zenの効果を検証するランダム化比較試験12か月間にわたり実施し、筋肉機能・認知機能・免疫機能の3領域で10年以上の若返りを目標とします。データは全ファイナリスト共通の評価基盤(ユタ大学データセンターおよびUCSD中央検査ラボ)に提出され、2030年の最終審査で世界の各チームと同一基準で比較されます。

堀江特任教授のコメント

世界600を超えるチームの中から決勝に進む20チームに選ばれたことを光栄に思います。日本の生活文化に根ざした知恵を科学の言葉に翻訳し、世界の人々が実践できる形にすることが私たちの使命です。順天堂大学が長年蓄積してきた臨床研究・医療人育成の力を、今後は世界に向けて展開していきたいと考えています。

   
■今後の展開

順天堂大学では、本プロジェクトを通じて、次のような発展的展開を見込んでいます。

  • エビデンスに基づく「未来型健康プログラム」の開発と社会実装
  • 老化介入研究における生物学的バイオマーカーの妥当性検証
  • 国際的な研究連携・臨床応用の推進(アジア・欧米とのネットワーク形成)