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2019.04.27 
“負けず嫌いの泣き虫”がスカッシュ界のエースに。日本のトップランナーが世界の頂点を目指す!-後編-

“負けず嫌いの泣き虫”がスカッシュ界のエースに。
日本のトップランナーが世界の頂点を目指す!
-後編-

机龍之介 RYUNOSUKE TSUKUE
順天堂大学スポーツ健康科学部4年生

机龍之介選手13

四方を壁に囲まれたコートでボールを打ち合うスポーツ「スカッシュ」。順天堂大学スポーツ健康科学部の机龍之介選手は、17歳3カ月で全日本選手権最年少優勝を果たし、2018年11月には5連覇を達成しました。大学卒業後は、プロスカッシュプレーヤーとして、本格的に世界の頂点を目指す戦いに挑みます。国内の頂点に立つまでの苦悩や挫折、順天堂大学での出会い、日本スカッシュ界のトップランナーとしての熱い思いを聞きました。
(※前編はこちら

意識を変えた他競技の選手との寮生活

―順天堂大学に進学した理由を教えてください。

進学先を考えていた時、順天堂大学スカッシュ部部長の柳谷登志雄先生(スポーツ健康科学部 先任准教授)や在校生の先輩のお話をうかがう機会があり、授業内容などを詳しく教えていただき、スカッシュの専用コートが新設されることも知りました。興味を持ったのは、ほかのスポーツについても学べること。大学で学んだことを自分の力にすれば、プレーにも良い変化が生まれるのではないかと考え、進学を決めました。強豪選手が集まるアメリカの大学への進学も検討していたのですが、アメリカ生活に必要な英語を勉強する時間もスカッシュの練習に充てていたい、という思いもあったんです。

机龍之介選手08

大学で専門的な授業を受けていると、それまで知らなかった理論や知識、やってみたいトレーニング方法など、自分のプレーが変わるきっかけになる情報をいくつも見つけることができます。その中から、柳谷先生や日本代表のコーチとも相談しながら、自分に必要な練習を取捨選択していました。それまではがむしゃらにやっていた練習やトレーニングを、計画的、効率的に進められるようになったのは、大学での学びがあったからです。

―順天堂大学では、さまざまな競技のトップ選手が学んでいます。机選手が特に刺激を受けた選手はいますか?

大学に入学してからは視野が広がり、スカッシュ以外のスポーツの選手と自分を比べ、多くのことを吸収するようになりました。特に、1年生の時に寮で同室だった友人の犬塚渉(陸上競技部)との出会いで、僕の競技者としての意識は大きく変わったと思います。
犬塚は、日々食事の時間や量に気を配り、入念に身体のケアをし、生活の中でもアスリートとしての意識を高く持っていました。僕はすでに日本一のタイトルを取って入学していましたが、そのタイトルが少し恥ずかしいと思うぐらい、意識の部分では犬塚に後れを取っていたんです。世界で戦うためには、練習以外の時間も自分の身体と向き合うことが必要なんだと痛感し、自分の生活も変わりました。より高いレベルでプレーできる体を作ろうとする意識も生まれました。犬塚と同じ部屋で1年間生活したことは、僕にとってとても刺激的でしたし、大切な経験になっています。

机龍之介選手09

―世界のスカッシュ事情を教えていただけますか?

スカッシュはイギリス発祥のスポーツなので、ヨーロッパでは昔から盛んですし、アメリカではカレッジスポーツとして注目され、強化に力を入れる大学が増えています。強豪選手を多く輩出しているのはエジプトですね。過去にスカッシュを趣味としていた大統領が競技に注力していたようで、国を代表するような人気スポーツになっています。
日本ではまだ競技人口も少ないのですが、海外のプロトーナメントに出場すると、平日の夜でも仕事終わりに観戦に来る人も多く、人気のスポーツなんですよ。

机龍之介選手10

練習後には部員みんなでスカッシュコートを掃除する
―国内の選手は、普段どのような環境で練習をしているのでしょうか。

日本にはまだナショナルコートがなく、スカッシュ専門のクラブも多いとはいえません。スカッシュコートを備えたスポーツクラブはありますが、時間制限があったり、一般の利用者の方と譲り合って利用しなければならなかったり、選手が集中して練習するのがなかなか難しい場合もあります。
僕自身は、主に大学のスカッシュ専用コートを使っているので、自分のスケジュールに合わせて、ストレスなく、集中して練習することができています。同じ建物の中にはアスレティックトレーニングルームもあり、練習環境としてはとても恵まれていますね。自分で組み立てた通りに毎日練習できることが、大会での結果に繋がっていると思います。

机龍之介選手11

さくらキャンパスにあるスカッシュコート

「スカッシュ界の錦織圭」と呼ばれたい

―すでに国内では敵なしの机選手ですが、世界の舞台で戦うために強化していきたいポイントはどこでしょうか?

今取り組んでいるのは、無駄な動きをなくすことです。テンポの速いラリーで相手を崩していくのが僕のプレースタイルなのですが、試合終盤になると、どうしてもスピードをキープできなくなってしまう。それは、ショットを打った後の動きに無駄があり、相手のショットに対する動き出しが遅れ、体力を消耗してしまうからです。
わずかな動きの無駄も、疲労が蓄積する試合終盤には、大きな差になって表れます。持ち味であるラリーのテンポを上げ、最後まで速いラリーを続けるためには、ロスのない動きが欠かせません。より速い展開で試合を進められる力が付けば、上のレベルの選手とも対等に戦えると考えています。自分のプレースタイルを磨き、世界で通用するものにするために強化を図っているところです。

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―最後に、これからの目標を教えてください。

来春、大学を卒業した後は、海外に拠点を置き、本格的にプロスカッシュプレーヤーとして活動するつもりです。2017年にプロ登録をしていますが、大学の授業を優先していて、まだ出場した試合はそれほど多くありません。スカッシュのプロツアーは、テニス同様、獲得ポイントによって出場できる大会のランクが決まります。そのため、今年1年間は出場数を増やして結果を残し、ポイントを獲得して来年に繋げたいと思っています。
将来的な目標は、もちろん世界のトッププレーヤーになること。同じラケット競技では、テニスの錦織圭選手や大坂なおみ選手、バドミントンの桃田賢斗選手など、世界の頂点で戦う日本人選手が誕生しています。僕もその後に続き、日本中に応援してもらえるスカッシュプレーヤーになりたいです。また、僕が活躍することでスカッシュがメディアにも取り上げられ、競技の普及にも繋がってほしいと考えています。
「スカッシュ界の錦織圭選手」と呼んでもらえるように、世界の舞台で闘い、結果を残していきたいですね。

机龍之介選手13

【プロフィール】
机 龍之介 RYUNOSUKE TSUKUE
順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツマネジメント学科 4年
スカッシュ部

神奈川県立旭高校出身。2016年、順天堂大学入学。ジュニア時代は、香港ジュニア、KLジュニアなど数々の国際大会で優勝し、世界ジュニアランキングで最高4位、アジアジュニアランキングでは1位をマークした。2014年、全日本選手権で史上最年少優勝を果たし、2018年には5連覇を達成。国内ランキング1位(2019年4月現在)。