コラム 統計学の資格とは?統計検定の種類と目的を紹介

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資格があると、自分がどのようなスキルを持っているのか、専門性がどのくらいあるのかを示すことができます。統計学の分野にも資格はあり、取得を目指すことで着実にスキルを高めていくことも可能です。ここでは、統計学に関する資格の種類や目的についてご紹介します。

 

 

統計学の資格とは?

統計学は、データサイエンティストの仕事と切っても切り離せない学問です。統計学とは、一言で表すとデータを解析してその内容を説明するための手法のことを指します。そして、統計学についての知識の深さを示すために、統計検定がよく用いられています。

統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が認定する資格です。習熟度によって異なる10の区分からなり、基礎的な知識を問う初級のものから高レベルなものまでさまざまです。

データサイエンティストを目指す人にとって、統計検定の取得は有意義であり、就職・転職時のアピールにもなるでしょう。

 

統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/

 

 

統計検定の区分

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統計検定は、以下の10区分に分かれています。自分のレベルに応じて上級資格を目指していくことができます。

・統計検定4級

・統計検定3級

・統計検定2級

・統計検定準1級

・統計検定1級

・統計調査士

・専門統計調査士

・データサイエンス(DS)基礎

・データサイエンス(DS)発展

・データサイエンス(DS)エキスパート

 

1.統計検定4級

統計検定の中で最も易しい、初級者向けの資格です。主に、データやグラフ、確率についての基礎知識、活用法について問われる試験で、難しい数学などは含まれません。

 

受験方法 CBT
試験日 任意

受験料

一般:5,000円(税込)

学割:3,500円(税込)
試験内容 中学レベルのデータ・表・グラフ・確率に関する基礎知識、具体的な活用
問題数 約30問
試験時間 60分
合格点 60点以上(100点満点)
受験資格

なし

 ※2023年12月時点

 

参照:統計検定4級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

​​https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade4/

 

 

2.統計検定3級      

高校数学レベルの問題も出てきますが、こちらも初心者が目指したいレベルの検定となっています。短時間でグラフや図を読み解く能力が問われるなど、データの理解における重要な部分が身に付きます。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:6,000円(税込)

学割:4,000円(税込)

試験内容

高校レベルの数学、データ分析の重要な概念、身近な問題に活かせる力

問題数

約30問

試験時間

60分

合格点

65点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

参照:統計検定3級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade3/

 

3.統計検定2級     

統計学の知識が問われる仕事に就きたいのであれば、2級以上のレベルが必要とされています。よって、機械学習やデータ分析に関する仕事に就きたい方は、必ず業務で必要になってくる基本的な知識が問われると言えるでしょう。初級者向けの4級や3級に比べると専門性が増した内容となっています。  

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:7,000円(税込)

学割:5,000円(税込)

試験内容

大学教養レベルの数学、統計的問題解決力について

問題数

約35問

試験時間

90分

合格点

60点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

出典:統計検定2級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade2/

 

4.統計検定準1級

準1級までは、コンピュータを使って回答するCBT試験です。これ以上のレベルになると、論述形式での問題になります。2級から準1級の間で難易度は大きく変わるため、準1級の取得までには相当の努力も必要になってきます。少なくとも、2級までで問われる内容は完全に理解したうえで、数学の深い知識が必要になってくるでしょう。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:8,000円(税込)

学割:6,000円(税込)

試験内容

2級までの知識を踏まえた、実社会での問題に対する統計学の手法の応用

問題数

25問~30問

試験時間

90分

合格点

60点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

出典:統計検定準1級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade1semi/

 

5.統計検定1級          

CBTでの受験ではなく、論述式の試験へと変わります。「統計数理」と「統計応用」の2つの試験が実施され、それぞれ個別に合否の発表があります。2つの合格が揃ってはじめて1級を取得することができる仕組みです。どちらか一方しか合格しなかった場合は、合格の有効期間10年間の間にもう片方をクリアしなければなりません。統計学を用いた仕事に就く場合、最終的に目指すこととなる資格とも言えるでしょう。

 

【統計数理】

受験方法

論述形式

試験日

11月

受験料

6,000円(税込)

※統計応用も受ける場合はあわせて10,000円(税込)

試験内容

大学専門課程レベルの数学、数理的な理解

問題数

5問から3問選択

試験時間

90分

合格点

非公開

受験資格

なし

 

【統計応用】

受験方法

論述形式

試験日

毎年11月

受験料

6,000円(税込)

※統計応用も受ける場合はあわせて10,000円(税込)

試験内容

大学専門課程レベルの数学、実問題に統計学を活用する際に考慮すべき事柄についての理解

問題数

5問から3問選択

試験時間

90分

合格点

非公開

受験資格

なし

 ※2023年12月時点  

 

参照:統計検定1級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade1/

 

6.統計調査士

公的統計に関する知識や活用力が問われる資格です。ビジネスの場面で統計学を活かすような、マーケティング等の仕事にも役立ちます。数学のレベルは統計検定3級程度で、数式もあまり出てきません。数学に苦手意識がある方にもチャレンジしやすい試験です。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:7,000円(税込)

学割:5,000円(税込)

試験内容

統計検定3級レベルの基礎知識、社会人に求められる公的統計の理解力・活用力

問題数

約30問

試験時間

60分

合格点

70点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

参照:統計検定 統計調査士|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/tyousa/

 

7.専門統計調査士

統計調査士の上級資格です。受験条件は特にないものの、統計調査士を取得しておかなければ認定証は発行されません。したがって、まずは統計調査士を取得してチャレンジするか、合格の有効期間である5年以内に統計調査士も取得するかのいずれかを選ぶこととなるでしょう。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:10,000円(税込)

学割:8,000円(税込)

試験内容

統計検定2級レベルの専門的な知識、統計や各種調査データに関する総合的な知識

問題数

約40問

試験時間

90分

合格点

65点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

参照:統計検定 専門統計調査士|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/senmontyousa/

 

8.データサイエンス (DS) 基礎

2021年創設の、新しい資格です。データサイエンスの基礎となる部分が問われる、初級者におすすめの資格とも言えます。ピボットテーブルや各種関数といったExcel操作の知識も問われます。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:7,000円(税込)

学割:5,000円(税込)

試験内容

データサイエンスの基礎

問題数

約45問

試験時間

90分

合格点

60点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

参照:統計検定 データサイエンス基礎|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade11/  

 

9.データサイエンス (DS) 発展

データサイエンス(DS)基礎とともに、2021年から開始されている試験です。内容としては、統計検定2級相当の知識に加え、Pythonの操作能力が問われます。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:6,000円(税込)

学割:4,000円(税込)

試験内容

大学教養レベルの数理、計算、統計、倫理

問題数

約30問

試験時間

60分

合格点

60点以上(100点満点)

受験資格

なし

 ※2023年12月時点

 

参照:統計検定 データサイエンス発展|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade12/

 

10.データサイエンス (DS) エキスパート

データサイエンス(DS)発展の上級資格です。2022年から開始となった新しい資格でもあり、データサイエンスに関する幅広い理解と実務的な知識が必要となります。

 

受験方法

CBT

試験日

任意

受験料

一般:8,000円(税込)

学割:6,000円(税込)

試験内容

大学専門レベルの領域知識、数理、統計、計算、モデリング

問題数

約40問

試験時間

90分

合格点

60点以上(100点満点)

受験資格

なし

※2023年12月時点

 

参照:

統計検定 データサイエンスエキスパート|統計検定:Japan Statistical Society Certificate

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade13/

 

 

各資格で証明できるスキルは?

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統計学の資格の種類によって、証明できるスキルは異なります。仕事で役立てるために、目指すべきスキルに合う資格の取得を目指していきましょう。

 

統計検定4級

データ、表、グラフ、確率についての基礎知識や具体的な活用法が理解できている

統計検定3級

データの読解についてのリテラシーが身に付いている

統計検定2級

大学教養レベルの数学の習得と、仕事として統計学が活用できることの証明となる

統計検定準1級

統計全般の知識が身に付いており、数式についても深い理解がある

統計検定1級

統計学の能力が十分にある

統計調査士

公的統計に関する正確なあ知識があり、適切に応用できる

専門統計調査士

調査の企画、実施、結果の解釈まで専門的な知識がある

データサイエンス(DS)基礎

データサイエンスの基礎が身に付いている

データサイエンス(DS)発展

統計検定2級相当の知識に加え、Pythonnの実践的な操作ができる

データサイエンス(DS)エキスパート

データサイエンス基礎・発展の実務的な知識と、本質的な理解ができている

 

 

どの資格を取得するのがおすすめ?

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これから統計学の資格取得を目指す方は、自分の目的に合う資格から挑戦してみるのがおすすめです。

 

統計学の基礎を学びたい

統計学の基礎を学び、その実力を試したいのであれば、統計検定4級・3級がおすすめです。これらは、求められる数学のレベルが中学校や高校程度となっており、初心者にも易しいとされています。少し難易度はあがりますが、統計調査士、データサイエンス基礎も比較的とりやすいと言えるでしょう。

 

就職・転職に活かしたい

統計学を仕事に用いる仕事に就く場合、統計検定2級、統計調査士、データサイエンス基礎がボーダーラインと言われています。つまり、就職や転職時には、これらの資格は最低限取得しておくべきレベルでしょう。これ以上の上級資格があると、就職・転職時にはアピールポイントとなり、有利にはたらく可能性もあります。

 

今の仕事に資格の知識を役立てたい

マーケティングの調査やプレゼンテーション等の図表の作成など、今の仕事に役立つ知識を身に付けたい場合は、統計調査士や専門調査士がおすすめです。現状の仕事に課題があると実感している方は、資格の勉強や取得によってより適切に活かすことができるでしょう。

 

学生のうちに取得したい

基本的に、統計学の資格は学歴など関係ないため、年齢やキャリアを問わず受験できます。統計検定4級や3級は入門資格ですが、統計学について勉強している学生ならそれ以上の資格にも積極的にチャレンジしてみるのもおすすめです。

  

エンジニアのキャリアアップに活用したい

統計学の資格の中では、統計検定準1級・1級、専門統計調査士、データサイエンスエキスパートの難易度が高いとされています。既にエンジニアとして活躍し、これから差別化をはかりキャリアアップしたい場合は、こうした上級資格へのチャレンジがおすすめです。

 

データサイエンティストを目指したい

新設されて間もない資格ではありますが、データサイエンティストとして働くのであればデータサイエンス基礎~エキスパートの資格がおすすめです。データサイエンティストの必要性は、まだ認知され始めたばかりでもあり、資格を取得しておくことは有意義です。

 

関連リンク:

データサイエンティストの将来性が高い理由は?不安視する声とその原因も紹介

https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/folder/9/

データサイエンティストになるための勉強方法は?独学で学べる?必要なスキルも紹介

https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/folder/8/

 

 

データサイエンスを学ぶなら”順天堂大学”

順天堂大学は、医学部や薬学部をはじめとする、健康に関する学問を学べる大学・大学院です。出身校や国籍、性別による差別のない学風を掲げ、グローバル社会で活躍できる人材の育成・輩出に取り組んでいます。

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健康データサイエンス学部|順天堂大学

https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/

資料請求|順天堂大学健康データサイエンス学部

https://www.umcnavi.jp/jtm/sm/index.asp

お問い合わせ|順天堂大学健康データサイエンス学部https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/contact/contact/

 

 

まとめ

統計学に関する資格は、初心者でも挑戦しやすいものから上級者向けのものまで幅広く、自身のレベルに合わせて受験することが可能です。基本的に受験資格がないため、学生のうちから徐々に上級資格を目指すこともできます。資格を取得することは、自分がアピールできるスキルを客観的に示すことにもつながり、就職や転職、昇進など仕事をしていくうえでも役立つでしょう。