コラム 統計学を学べる学部は?種類や活かせる職業も紹介
統計学は、私たちの身近でもよく活用される学問です。「難しい」「専門性が高い」というイメージが強いかもしれませんが、深く学ぶことで将来さまざまな仕事に役立てられる可能性があります。ここでは、統計学がどのような場面で用いられているのか具体例をあげながら、その種類や学べる学部、統計学が活かせる職業についてご紹介します。
統計学とは何か?
統計学とは、データを分析して特徴を理解したり、そのデータをもとに未知のデータや将来のデータを予測し役立てるための学問です。
言葉だけ聞くと、あまり馴染みがないと思われるかもしれませんが、統計学は日常生活のあちこちで活用されていることをご存じでしょうか。
たとえば、学内テストの平均点の発表や、毎日ニュースで見かける天気予報にも、統計学が用いられています。
関連リンク:統計学の資格とは?統計検定の種類と目的を紹介
https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/folder/11/
統計学とデータサイエンスの違い
データサイエンスとは、膨大なデータの中から必要な情報を取り出して、価値のある情報を引き出し、問題に向けたアプローチを行うことを指します。統計学は、その目的のために用いられる手法の一部分です。以前は、データサイエンスも統計学と同様の意味を持つ言葉として認識されていましたが、今は区別されています。
統計学とデータ分析の違い
データサイエンスに欠かせないのがデータ分析です。データ分析は、膨大なデータを整理・分析して知見を得ることを指しますが、それに用いられる手法の1つが統計学です。
統計学の活用事例を紹介
それでは、私たちの生活の中でどのような場面に統計学が用いられているのか、その例をいくつか紹介します。
大学入試や模試
大学入試や模試では、統計学によって偏差値や合格ライン、大学入学共通テストの推定得点などが明らかになります。
偏差値を例に見てみましょう。偏差値は、平均の学力を50とした場合、受験者の学力が平均よりも高ければ50より上の数字に、逆に平均よりも低ければ50より低い数字で表されます。つまり、偏差値の数字を見ると、自分の学力が平均と比べてどのくらい離れているのかを知ることができます。
その計算は、統計学の「正規分布」という考え方を使って行われ、全受験者の点数から学力の平均値を導き出し、個人の偏差値を出しているのです。
天気の予報
天気予報は、過去の気象データから統計学を用いて予測した結果がテレビやラジオ等で発表されています。
その日の温度や湿度、気圧などは、データとして蓄積されています。そして、その日の条件に当てはまる過去のパターンから、天気を予測しているのです。
視聴率の算出
視聴率は、限られた一部の世帯の視聴データをもとに算出されています。これは、統計学の「標本調査」という手法が用いられており、対象となる世帯は無作為に抽出されています。抽出された世帯のテレビには自動計測器が取り付けられ、その視聴データが視聴率の計算に役立てられているのです。
大学で学べる統計学の代表的な種類
統計学にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。大学で学べる統計学は以下の5つが主流です。
①基礎統計学
統計学を初めて学ぶ方が通る道ともいえる、基本的なデータ解析方法や考え方、データの収集の方法などを学びます。大学では、表計算ソフトや統計解析ソフトを実際に使いながら学ぶことが多く、これには数学の微分・積分の知識が必要となります。
②社会統計学
社会や集団の意識や実態の調査をすることを、社会調査といいます。この社会調査で利用する統計学を、社会統計学と呼びます。社会調査の代表的なものは、国勢調査です。国勢調査や世論調査は、全国民を一斉に対象にするわけではありません。統計学の「標本調査」でデータを収集し、分析しています。
③記述統計学
データの特徴を、グラフや表で分かりやすく表現する学問を、記述統計学といいます。記述統計学を学ぶと、集めたデータから得られる情報がより分かりやすくなるというメリットがあります。自分だけでなく、第三者に伝えるときにも便利です。
④推測統計学
調査したい対象の母集団が大きいときに、サンプリングしたデータから全体像を把握する学問のことを、推測統計学といいます。例えば、選挙の出口調査やテレビの視聴率などが代表的です。
⑤心理統計学
本来ならばつかみどころがなく、客観的な判断がしづらい心に関する情報を、数値化して科学的に分析するのが、心理統計学です。例えば、消費者のアンケート調査は企業のブランド力をはかる上でよく用いられる取り組みで、目に見えない心を公平に科学的にとらえるための学問とも言えるでしょう。
統計学を学べる学部は?
「統計学」という言葉はよく知られていますが、日本の大学に「統計学部」はありません。しかし、さまざまな学部のカリキュラムの中には統計学が含まれていることもあり、具体的に学びたい内容に合わせて学部を選ぶのが一般的です。
文系の学部
・経営学部
・経済学部
・社会学部
・心理学部
・商学部
以上のように、文系の学部でも統計学が学べるところは少なくありません。「文系だから統計学は学べない」と諦めずに、文系でも統計学が学べる大学を探してみましょう。
理系の学部
・工学部
・理学部
・医学部
・薬学部
・情報工学部
・データサイエンス学部(学科)
データサイエンス学部は、理系の学部に入れてはいるものの、近年は文系の学部に学科を設ける大学も見られており、一概に「理系」と言い切ることは難しくなってきました。現代において、データサイエンスは文系・理系問わず必要性の高い学問であることの表れだと考えられます。
データサイエンスが学べる大学
データサイエンスについて深く学びたい、将来はデータサイエンティストを目指したいという方には、データサイエンス学部(学科)のある大学がおすすめです。
一例ですが、データサイエンス学(学科)のある大学をご紹介します。
・滋賀大学 データサイエンス学部(滋賀県)
・中央大学 理工学部 ビジネスデータサイエンス学科(東京都)
・立正大学 データサイエンス学部(埼玉県)
・順天堂大学 健康データサイエンス学部(千葉県)
統計学の知識を活かせる職業
統計学を勉強して、その後どのように将来に活かせるのかも気になりますよね。実際に、統計学の知識が生きる代表的な職業をご紹介します。
市場調査のリサーチャー
新しい商品やサービスに対する顧客の反応や、顧客のニーズ、ライバル会社の動きなどを調査することを、市場調査といいます。その方法は、アンケートやSNSなどさまざまですが、集めたデータを適切に分析することが重要です。統計学は、それぞれのケースに応じた適切な調査方法の選定や、データ分析に役立ちます。
データサイエンティストやデータアナリスト
データサイエンティストやデータアナリストは、ビッグデータの活用・分析を専門とし、さらに将来有益となる情報を企業にもたらす働きが求められます。統計学の知識は確実に役に立つと言えるでしょう。
マーケター・企画
マーケティング業務を行う人は、戦略をたてるために顧客から得られる情報をうまく活用しなければなりません。その際、統計学の知識があると、正確にデータを分析し、読み解くことができます。そして、次の戦略がより効果的になり、売り上げや利益の向上に寄与できるでしょう。
AIエンジニア
AI開発には、統計学の知識が必須となります。したがって、AIエンジニアが統計学を深く学
んでいると、自身をアピールできる強みとなるでしょう。
企業や大学、研究所などの研究者
あらゆる研究者は、求めたい事象に対して仮説をたて、調査をし、実験を重ねて分析をし、未明の知識や技術を明らかにするのが仕事です。統計学は、積み重ねた大事なデータを正確に扱い、結論に至るまでに発生しうるミスやエラーを防止し、核心を逃さず正確に分析するために不可欠です。
データサイエンティストを目指すなら”順天堂大学”
順天堂大学は、8学部・4研究科・6付属病院からなる健康総合大学・大学院です。医療、健康、保健、福祉を支える人材の育成と輩出に取り組んでおり、健康データサイエンス学部では健康とデータサイエンスの両面から人々の健康課題に挑めるスキルを身に付けることができます。
統計学をはじめ、スポーツや医学など、各方面で活躍する教授から学べる点も特徴。将来の活躍の場は、医療機関や製薬企業、スポーツ関連メーカーなど多岐にわたります。
3年次・4年次は、順天堂大学の付属病院などでのインターンシップを経験し、学生のうちに実践的な応用スキルが身に付くようカリキュラムが工夫されており、就職に備えることが可能です。
健康データサイエンス学部|順天堂大学 資料請求|順天堂大学健康データサイエンス学部 お問い合わせ|順天堂大学健康データサイエンス学部https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/contact/contact |
まとめ
統計学にはいくつもの種類があり、必ずしも理系の学部ばかりが取り扱う学問ではありません。種類によっては、文系の学部でも学ぶことが可能で、将来やりたい仕事に役立てられる場面は多いでしょう。特に、世界的に見てもデータサイエンティストの需要が高まっていることから、これからますますデータサイエンスに注目が集まると予想されます。統計学を用いて仕事をしたいと考える方は、データサイエンティストが目指せる大学を探してみてはいかがでしょうか。