コラム G検定(ジェネラリスト検定)とは?試験の難易度や取得するメリット、合格率について解説
G検定は、日本ディープラーニング協会が主催する人工知能(AI)に関する資格試験です。この検定を通して、AI技術者としての基礎を身につけることができます。本記事では、G検定の概要、試験形式や試験会場、合格率、勉強時間、そして勉強方法について解説し、難易度について考察します。また、合格者の年齢別や職業別のデータも掲載しています。ぜひ最後までご覧ください。
G検定とは?
G検定は、日本ディープラーニング協会認定のAI(人工知能)に関する資格です。この資格は、AI分野の中でもディープラーニングに焦点を当てたものであり、ディープラーニングに関する広範な知識とスキルが求められます。G検定の難易度は比較的低く、年に3回実施されており、自宅での受験も可能なため、気軽に受験できるのも特長です。以下では、G検定の概要、G検定の試験形式と試験会場について説明します。
G検定の概要
G検定は、人工知能やディープラーニングなどの基本的な知識だけでなく、これらを事業に活用する際に必要な法律や倫理に関する知識も含まれる試験です。AI技術者に必要な基礎知識が包括的にカバーされています。試験の中には統計や数学の知識を要するものもあり、これらが苦手な方はしっかりと対策することが必要です。
現代では、AIの活用が企業の生産性向上に不可欠な要素となっており、そのためにAI技術者への需要が高まっています。本検定を受験することでAIの基本的な知識が身に付き、その後のキャリアのステップアップにつなげることができます。そのため、G検定は意味のある資格と言えるでしょう。
G検定の試験形式と試験会場は?
G検定はオンライン受験が可能で、パソコンとインターネットが利用できればどこでも受験することが可能です。公式サイトでは、オンライン実施(自宅受験)が推奨されているため、なるべく自宅での受験が良いでしょう。受験時間は120分ありますが、問題数が220問と多いため、迅速に問題を解いていく必要があります。出題範囲も広範にわたっているので、十分な対策が合格の鍵です。
AI業界の急速な変化に対応しているため、問題内容も時事に即したものが出題されます。たとえば数ヶ月前に施行された法律についての問題が出ることもあり、常に業界の動向に目を向けることが必要です。受験資格は特になく、どなたでも受験できます。受験料は一般の方は13,200円ですが、学生は5,500円と安く、学生にとって受験しやすい試験ですので、在学中に挑戦してみてはいかがでしょうか。再試験は2年以内であれば半額で受験することが可能です。
参照:資格試験について - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
G検定の難易度
G検定の合格率と勉強時間からG検定の難易度を確認しておきましょう。
G検定の合格率
開催回 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
2021 #1 |
6,062 |
3,866 |
63.77% |
2021 #2 |
7,450 |
4,582 |
61.50% |
2021 #3 |
7,399 |
4,769 |
64.45% |
2022 #1 |
6,760 |
4,198 |
62.10% |
2022 #2 |
6,398 |
3,917 |
61.22% |
2022 #3 |
7,502 |
4,964 |
66.17% |
2023 #1 |
7,150 |
4,705 |
65.80% |
2023 #2 |
3,052 |
2,075 |
67.99% |
2023 #3 |
4,518 |
3,106 |
68.75% |
|
|
平均合格率 |
64.63% |
参照:「2023年 第3回 G検定」開催結果を発表(4,518名が受験し、3,106名が合格) - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
https://jdla.org/news/20230724001/
G検定が始まって以来現在までの合格者数と合格率が公式サイトで公表されています。2021年から2023年に実施された9回の試験の受験者数、合格数、合格率をまとめてみました。多少のばらつきはありますが、どの回も合格率は60%を超えており、平均合格率は64.63%でした。受験者の50%以上が合格しており、他の資格試験と比較して高い合格率を誇っています。ただし、この試験は主にエンジニア経験者が受験することから、未経験者には難易度が高いと考えられます。
G検定に合格するための勉強時間
G検定に独学で合格するためには、予備知識が一切ない初学者でも、30〜40時間の学習で十分とされています。しかし、余裕を持って学習するためには、試験の2ヶ月以上前から学習を始めることが賢明です。予備知識がある場合でも、30時間以上勉強時間を確保することをおすすめします。1日1時間の学習時間であれば1ヶ月で対応できますが、自分の知識レベルを把握し、試験当日に向けて逆算して学習時間を計画するようにしましょう。
G検定を取得するメリット
AIやディープラーニングの知識が身に付くG検定を取得すると、以下のメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきましょう。
ディープラーニングの基礎知識を持っていることの証明になる
G検定の取得は、ディープラーニングの基礎知識を客観的に証明する手段となります。人工知能の進展とともに、機械学習やディープラーニングの産業への応用はますます拡大すると予測されます。その中でこれらの分野における基本的な知識を有することは業務理解において非常に有益です。G検定の試験範囲はAIの知識、機械学習、ディープラーニングなどに広がっていますが、AI技術は日々進化しつづけています。本検定を取得した後も、最新情報をキャッチしながら新しい知識を継続的に身につけていくことが重要です。
DX人材にステップアップできる
急速に変化し続ける社会と企業環境。最近ではビジネスモデルや業務フローも頻繁に変革が起こり、その中で注目を集めているのが、デジタルトランスフォーメーション、略して「DX」です。これらの変革に伴い、組織内でリテラシーの高い人材が求められています。DX時代において、企業が求める人物像を理解することは、将来のキャリア形成においてますます重要になっています。こうした状況下で、DX時代に適応できるビジネスパーソンになりたいと考える方も増えているでしょう。G検定は、そうした意欲に応え、DX人材へのステップアップを支援するための一歩となります。
転職活動で有利になる
G検定を取得することで、AIなどの体系的な知識を有していることを証明でき、転職活動において役立ちます。AI関連の仕事に興味がありながらも、自身の知識やスキルを証明する手段がないと、転職が難しくなることがあります。G検定の取得は、そのような課題に対処するための有力な手段です。取得したメリットを活かして希望の職種でのチャンスをつかみましょう。資格が活かせる具体的な職種としては、機械学習エンジニア、AIエンジニアなどが挙げられます。
G検定の合格者数
2023年第3回試験の合格者数は3,106人でした。ここでは、さらに年齢別、業種別、職種別の合格者数を見ていきましょう。
年齢別合格者数
年代 |
合格者数 |
全体の割合 |
10代 |
45 |
1.45% |
20代 |
1206 |
38.83% |
30代 |
945 |
30.42% |
40代 |
611 |
19.67% |
50代 |
274 |
8.82% |
60代 |
25 |
0.80% |
70代 |
0 |
0. |
総計 |
3106 |
99.99% |
出典:https://jdla.org/news/20230724001/
年代別で見ると20代が1206人と一番多く、30代がその次に多く945人、40代は611人でした。
20代と30代で全体の約70%を占め、比較的若い世代が合格していると言えます。
業種別合格者数
業種 |
合格者数 |
全体の割合 |
ソフトウェア業 |
512 |
16.48% |
情報処理・提供サービス業 |
565 |
18.19% |
コンピュータ及び周辺機器製造または販売業 |
126 |
4.06% |
農業、林業、漁業、鉱業 |
3 |
0.10% |
建設業 |
61 |
1.96% |
製造業 |
602 |
19.38% |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
15 |
0.48% |
運輸・通信業 |
100 |
3.22% |
卸売・小売業、飲食店 |
62 |
2.00% |
金融・保険業、不動産業 |
478 |
15.39% |
サービス業 |
182 |
5.86% |
調査業、広告業 |
13 |
0.42% |
医療・福祉業 |
27 |
0.87% |
教育(学校、研究機関) |
19 |
0.61% |
官公庁、公益団体 |
41 |
1.32% |
大学院生 |
50 |
1.61% |
大学生 |
117 |
3.77% |
専門学校生 |
28 |
0.90% |
高等専門学校 |
0 |
0.00% |
高校生 |
3 |
0.10% |
中学生 |
2 |
0.06% |
無職、その他 |
76 |
2.45% |
不明 |
24 |
0.77% |
出典:https://jdla.org/news/20230724001/
業種別に見ると、最も多い製造業では602人が合格しており、全体の約20%です。
その他では、情報処理・提供サービス業、ソフトウェア業、金融・保険業、不動産業の順に多く、3業種の合格者数を合計すると全体の約半数を占めていることがわかります。
職種別合格者数
職種 |
合格者数 |
全体の割合 |
研究・開発 |
658 |
21.18% |
情報システム・システム企画 |
705 |
22.70% |
営業・販売 |
344 |
11.08% |
企画・調査・マーケティング |
253 |
8.15% |
生産・製造 |
199 |
6.41% |
経営・社業全般 |
46 |
1.48% |
経営企画 |
66 |
2.12% |
総務・経理・人事 |
104 |
3.35% |
学生 |
217 |
6.99% |
その他 |
514 |
16.55% |
出典:https://jdla.org/news/20230724001/
職種別では、情報システム・システム企画、研究・開発が上位を占めています。業種で最も多かった製造業ですが、職種別では生産・製造の合格者数がそれほど多くありませんが、これは業種別での区分の問題ではないでしょうか。
G検定取得のための勉強方法は?
G検定取得のための勉強法には、JDLAの公式テキストを使うことと、AIコースがある大学や専門学校に通う、2通りの方法があります。
JDLAの公式テキストを使う
JDLAが公式に出版したテキストが利用可能ですので、そちらを活用して学習することをおすすめします。初心者向けの入門レベルの解説書も用意されているため、安心して取り組むことができます。さらに、JDLAの公式サイトでは推薦図書も紹介されていますので、参考書を選ぶ際に役立ててください。なお、G検定の過去問題集はありませんが、公式サイトに例題が掲載されているので活用しましょう。
参照:
推薦図書 [2023年最新本] - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
https://jdla.org/recommendedbook/
G検定の例題・過去問 - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
https://jdla.org/certificate/general/issues/
AIコースがある大学や専門学校に通う
AIエンジニアを志望するなら、専門学校や大学のAIコースに通い、基礎から確実にスキルを磨くことがおすすめです。これらの教育機関では、高度専門士の取得が可能なプログラムも提供され、大学院進学の道も開かれています。より深い研究を追求しながら将来のキャリアの選択肢を広げることができます。
G検定を活かすことができる職業とは?
G検定の資格を活かせる職業は、主にAIエンジニアとシステムエンジニアです。どのような仕事があるのか見ていきましょう。
AIエンジニア
AIエンジニアは、人工知能(AI)、機械学習、ディープラーニングなどのスキルを駆使し、次世代のシステムを構築する専門職です。AIエンジニアは、ロボット開発、セキュリティシステム、ゲームなど、多岐にわたる分野で革新的な技術を開発しています。AIの進化に伴い、コンピュータによる効率化があらゆる分野で重要視されており、AIエンジニアはAIのスペシャリストとして、将来性の高い職業として注目を浴びています。そのため、G検定はAIスキルの基礎知識を習得する手段として、AIエンジニアとしてのキャリア構築に役立つでしょう。
システムエンジニア
システムエンジニア(SE)は、ソフトウェアの設計・開発を担当するエンジニアです。クライアントの要望や必要なシステムに関する情報をヒアリングし、それをもとにソフトウェアの仕様を策定します。その後、SEは開発の上流工程を担当し、最終的にはテストまでのプロセスを担当します。ITの普及に伴い、システム開発の需要が増加し続けている中で、SEは中心的な存在です。最近では、企業が業務システムにAIの技術を組み込み、効率化やセキュリティ対策を進めている傾向があります。そのため、AIに関するスキルを身につけておくと、非常に役立ちます。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データ分析に特化した業務を担当するエンジニアのことです。AIやディープラーニングなどのデータ分析に従事する際、関連する知識の有無が即戦力となるかどうかの重要な要素となります。ある程度の知識を備えている方は、即戦力としてデータサイエンティストとして迎えられやすくなります。自身が必要な知識を証明できることは、データサイエンティストのポジションを目指す際に有益です。データサイエンティストを目指すなら、G検定の取得を検討してみることをおすすめします。
類似する資格との違い
G検定と似た資格に、E資格とPythonエンジニア認定試験があります。それぞれの違いを確認しておきましょう。
E資格との違い
E資格(エンジニア資格)は、G検定と同様に一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する資格です。エンジニアと冠する通り、AIエンジニア向けの資格であり、応用数学や深層学習、機械学習などの専門知識が求められます。試験の内容はG検定よりも専門的であり、ディープラーニングのコーディングスキルを評価します。一方で、G検定はAIを活用する際に必要なリテラシーを試すものであり、AIの定義や研究開発の動向、具体的な手法に関する広範な基礎知識が問われる試験です。
E資格とは - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
https://jdla.org/certificate/engineer/
Pythonエンジニア認定試験との違い
Pythonエンジニア認定試験は、AI開発におけるプログラム言語に関する基本的な知識やデータ分析の手法、ライブラリにフォーカスした試験です。Pythonは特に機械学習分野でよく使用されるプログラミング言語であり、この資格はPythonを用いたプログラミングに特化した資格と言えます。一方で、G検定はAI全般にわたる広範な基本知識を要求する試験です。Pythonエンジニア認定試験はプログラミング要素がより強調されているため、Pythonでのプログラミング経験がない場合は、ハードルが高いかもしれません。
データサイエンティストを目指すなら”順天堂大学”
順天堂大学は、国際的なステージで社会貢献と人材育成を促進している、健康総合大学および大学院大学です。本大学は8つの学部、4つの研究科、そして6つの附属病院から構成されています。
創設は天保9年(1838年)に遡り、順天堂大学は医学、医療、スポーツの分野において「仁」を学ぶ基盤とし、これまでに長い期間にわたり社会への貢献を果たしてきました。近年では、医学、医療、スポーツ環境が急速に変化し、テクノロジーの進歩に伴いデータ分析が欠かせない存在となっています。
この変化に対応するため、順天堂大学は歴史ある医療系の教育機関として、健康データサイエンス学部を設立しました。豊富な実績と専門知識、積み重ねられたデータを駆使し、その歴史に裏打ちされた信頼性のある教育を提供しています。健康だけでなく、データサイエンス分野においても高度な知識とスキルを身につけたい方は、ぜひ順天堂大学での学習を検討してみてください。
健康データサイエンス学部|順天堂大学 https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/ 資料請求|順天堂大学健康データサイエンス学部 https://www.umcnavi.jp/jtm/sm/index.asp お問い合わせ|順天堂大学健康データサイエンス学部 https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/contact/contact/ |
まとめ
G検定は、ディープラーニングの基本知識を証明できる資格です。平均合格率は60%台であり、合格しやすい資格とされています。ただし、本試験は主にエンジニア経験者が受験する傾向があるため、未経験者にとっては難易度が高いと言えるでしょう。実際、合格者を職種別にみると、情報システム・システム企画と研究・開発の割合が多いことが公式データから読み取れます。データサイエンティストやシステムエンジニアを目指す方は、ぜひG検定の資格取得を検討してみてください。
参考サイト:
https://ai-shikaku.com/g-kentei/gkentei-pythonenginianinteidatebunsekishiken/#outline__3