コラム データサイエンティストになるための勉強方法は?独学で学べる?必要なスキルも紹介

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近年、高い需要があるデータサイエンティストですが、どのようにすればこの職業に就けるのかという疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。データサイエンティストに求められるスキルや知識にはさまざまなものがあり、大学やスクールで学ぶのが効果的です。また、参考書などを活用した独学も可能です。本記事では、データサイエンティストの概要を押さえた上で、独学で学べるかや必要なスキルなどについて解説していきます。

 

 

データサイエンティストの仕事内容とは? 

データサイエンティストの主な仕事内容として大量のデータの収集と整理、分析や予測モデルの構築が挙げられます。さらに、経営層や担当者に対して問題解決につながるデータに基づいた洞察を提供し、意思決定をサポートする機会もあります。華やかなイメージを抱かれやすいデータサイエンティストですが、膨大なデータの収集や加工、取捨選択など、地道な作業も多くあります。社会における最先端の領域に携われる他、やりがいも感じられる職業です。

 

 

データサイエンティストに必要な能力 

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データサイエンティストとして働く上で、どのような能力が求められるのでしょうか。

データサイエンティストに必要な能力として以下の6つが挙げられます。

  • 情報科学系の知識
  • Pythonについての知識
  • SQLについての知識
  • 機械学習を実装する知識
  • ビジネスへの応用力
  • コミュニケーション能力

 

情報科学系の知識

データサイエンティストには情報科学系の知識全般が求められます。データの収集や分析を行うためには、基本的な統計学や数学の知識が不可欠です。また、機械学習などの分析方法を理解するには、大学1年次に学ぶ線形代数や微分積分といった数学を押さえておく必要があります。

 

Pythonについての知識

データサイエンティストはデータ分析においてPythonやRを一般的に使用しています。特に、PythonはScikit-learn 、NumPy、Pandasなどのデータ分析や機械学習のためのライブラリの利用方法を理解し、その都度使用できるようにしておかなければなりません。

 

SQLについての知識

データサイエンティストはデータの適切な処理やデータベースの操作を行いますが、データベースの操作にはSQLという言語が使用されています。SQLはデータ分析によく使われる言語で、データの結合や抽出、更新などを行えます。

 

機械学習を実装する知識

データ分析において機械学習は必須であり、データサイエンティストには機械学習を実装するための知識も求められます。教師あり学習、教師なし学習、強化学習、深層学習の違いを把握し、場面ごとにしっかりと使い分けられるようにしておきます。

   

ビジネスへの応用力

データ分析の基礎的スキルを取得していたとしても、ビジネスにおいて応用できなければ意味がありません。データ分析をビジネスで活用するには実務経験を積むことはもちろん、扱う企業や業種の特徴、ビジネスの内容を理解しておく必要があります。

 

コミュニケーション能力

データサイエンティストには技術者としてのイメージもありますが、一人で業務を行うわけではありません。日々の業務において多くの人とコミュニケーションをとりますし、他者と共同で仕事をすることもあります。業務をスムーズに進めるためにはコミュニケーション能力が不可欠です。また、データサイエンティストにはデータ分析の結果を経営層などに伝える役割もあります。

 

 

データサイエンティストに必要なスキルの勉強方法

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データサイエンティストに求められるスキルは数多くあり、この職業に就くためには時間をかけて学ぶことが不可欠です。

データサイエンティストに必要なスキルの勉強法について以下6つについて解説していきます。

  • 数学・統計学
  • プログラミングスキル
  • 機械学習
  • ビジネススキル
  • マーケティングスキル
  • 概念化能力

 

数学・統計学

数学や統計学の学習経験がない人の場合、自分で書籍や解説サイトの説明文を読んでも理解に至らない箇所も多いはずです。

分からない部分があったら深追いせず、一度飛ばし、書籍や解説サイトなどを一通り読んで全体像を掴んでください。

一週目の学習で全体像を掴んでおくことで、二週目以降に読んだときに内容が理解しやすくなっていることも多いです。前回分からなかった部分も理解できるようになっていることもあります。

  

プログラミングスキル

データサイエンティストにとって必須のプログラミングスキルを学ぶ際は、まずは基本から学習を始め、PythonやRなどの言語を学んでいきます。PythonやRを利用するからといって、基礎がない状態でこれらから学んでもうまくいきません。

また、オンラインコースや書籍で基礎を固めたら、実際のプロジェクトに取り組むことでスキルを高められます。プログラミングスキルの向上を目指し、Kaggleなどで競技や課題に挑戦してみるのもおすすめです。

 

機械学習             

データサイエンティストとして働く上で重要なのが機械学習です。データサイエンティストは機械学習エンジニアが作成した機械学習やAIを使います。

機械学習を学習するにあたって、まずはプログラミングを取得しておく必要があります。その後で、フレームワークやポートフォリオについて学びます。機械学習はスクールや大学で学ぶこともできますが、独学で学ぶ人もいます。

 

ビジネススキル  

ビジネススキルは実際に現場で働く中で高めていくことができます。さまざまな分野を経験したり、不明点を先輩に質問して解消したりする中で磨かれていくものです。

また、関連書籍を熟読し、情報収集を行うことも大切です。経営やマーケティングに関する書籍を読んでおくことで、業務で活かせる情報を得られます。

 

マーケティングスキル

データサイエンティストがマーケティングを学習する場合、マーケティングの基本原則を理解し、データ分析と組み合わせることから始めます。

近年、マーケティングは学びやすい環境にあり、オンラインコース、書籍、個人ブログなどといった教材も溢れています。さらに、実践的なスキルとして、データ分析ツール(PythonやR)を使い、広告キャンペーンの評価や顧客セグメンテーションを行う経験を積みます。

 

概念化能力

データサイエンティストに求められる概念化能力の向上は、異なる分野の書籍や論文を読むことで可能です。さらに、さまざまな問題やデータセットを行い、データの背後に潜むパターンや洞察を把握していきます。

 

 

データサイエンスはどこで勉強できる?

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データサイエンティストになるための勉強は以下の3つ方法でできます。 

  • 大学で学ぶ
  • 学習サイトで学ぶ
  • 独学で勉強する

 

大学で学ぶ

国内にもデータサイエンティスト学部がいくつかある他、理工学部などでデータサイエンスを専攻できる大学もあります。また、副専攻としてデータサイエンスを専攻できる大学もあります。例えば、東京大学では大学院情報理工学系研究科が主導となり、「データサイエンティスト養成講座」を開講しています。所定講義の履修や研究を完了した際には、大学から修了証が授与されます。副専攻であればデータサイエンスを専攻する学部に在籍していない方も将来に向けて学ぶことが可能です。

 

セミナー・スクールで学ぶ

統計数理研究所はデータサイエンスに関連する教育プログラムのリスト「国内外の教育プログラム」を公表しています。同リストを参考にして、自分に合った教育プログラムを選択できます。セミナー・スクールに参加することで講師から直接説明してもらえる他、不明点があれば質問できます。また、同じ志を持つ仲間にも出会えるのも、セミナー・スクールならではの利点です。

 

Data Scientist Training Network|統計数理研究所

https://www.ism.ac.jp/shikoin/training/dstn/trainingaids.html

 

現代統計実務講座

現代統計実務講座は一般財団法人実務教育研究所が主催する文部科学省認定の通信講座です。データサイエンティストに必要な統計学のリテラシーを高め、実務に役立てられる実務統計を習得できるカリキュラム設計となっています。

 

現代統計実務講座 - 内閣府移行認可-一般財団法人 実務教育研究所

https://www.jitsumu.or.jp/courselist/statistics

 

データサイエンス・オンライン講座

データサイエンス・オンライン講座は総務省統計局が開校している講座であり、データサイエンス分野における人材育成を目的としています。講座は「社会人のためのデータサイエンス入門」や「誰でも使える統計オープンデータ」などのテーマに分類されており、誰でも無料で基礎を取得できます。

 

データサイエンス・オンライン講座

https://www.stat.go.jp/dss/online_index.html

 

独学で勉強する

データサイエンティストについて独学で学ぶことも可能です。スクールに通う時間が取れない人やまずは自分で勉強してみたい人は、書籍を使って勉強してみてください。ただし、データサイエンティストに求められる知識は幅広いため、一冊の書籍だけで全てを取得することはできません。複数の書籍を活用し、必要な知識やスキルを身に付けてください。

 

『BIシステム構築実践入門 (DB Magazine Selection) 』(平井明夫著、翔泳社 )

本書はビジネス・インテリジェンスに関する入門書として位置付けられています。データベースのデータをビジネスに役立てる仕組みについて詳しく解説されています。BIシステム構築に必要な知識について技術と業務の両面から解説されている他、実例ベースで基礎から説明されています。

 

『基本統計学 第4版』 (宮川公男著、有斐閣)

本書は12万人以上が学んだロングセラーの最新版です。これまで以上に丁寧、かつ分かりやすく説明が行われています。理解が乏しい箇所にはチェックして、使う人の目的に合った講義や学習ができるよう工夫されています。統計検定2級の範囲を体系立て、学習したい方におすすめです。

 

『道具としてのビッグデータ』(高橋範光著、日本実業出版社)

本書ではIoT、インダストリー4.0などの流れについて企業事例を交えながら解説されています。データサイエンティスト養成講座の第一人者として教材開発などの実績を持つ著者によって執筆された本であるため内容も分かりやすいです。

 

『Rによるデータサイエンス データ解析の基礎から最新手法まで』(金明哲著、森北出版)

本書は2017年に発売して以来、重版を重ねています。因子分析、ネットワーク分析。深層学習などの分析手法を試してみたい人やRを使ったデータ解析を一通り知っておきたい人などにおすすめです。データマイニングとR 言語について基礎から丁寧に解説されています。

 

『実践データマイニング―金融・競馬予測の科学』(月本洋著、オーム社)

本書ではデータマイニングがどのように役に立つのか、データマイニングの実データへの適用事例の具体的な紹介に重点が置かれています。 競馬と株の事例からデータマイニングの効果の判定を理解できます。具体的なINPUTデータとモデルを適用した結果に関する解説も行われています。

 

『わかりやすいパターン認識(第2版)』(石井健一郎・上田修功等著、オーム社)

本書は2019年11月に第2版としてリリースされた機械学習を学ぶ人を対象にした入門書です。数理的な面から機械学習を学ぶ人に対し、専門家が最初に読む書籍としておすすめしています。実験例、演習問題なども含まれており、データサイエンティストとしての知識をしっかりと定着できます。

 

『トップデータサイエンティストが教える データ活用実践教室』(高橋威知郎・安宅和人等著、日経BP)

本書では仕事に役立つデータ活用の新しいアプローチ、会社を動かす分析戦略の組み立て方、ビッグデータ技術などについて分かりやすく解説されています。現役のデータサイエンティストたちの連載を書籍向けに再構成したものと、新規の書き下ろしで構成されています。

 

学習サイトで学ぶ

データサイエンティストの需要の高まりとともに、データサイエンスについて学習できるサイトも増えてきています。学習サイトは書籍よりもお手軽感がある他、書籍同様に自分のペースで学べる点などが利点となります。また、スクールや書籍と並行して利用するのもおすすめで、自分の不足している知識を学習サイトで補うことも可能です。

 

Progate

プログラミング言語をブラウザ上で入力し、動かしながら学べる学習サイトです。データサイエンティスト関連のプログラミング言語はPythonとSQLを学べます。プログラミングに関する基礎が細やかに説明されているため、プログラミング初心者の方にもおすすめできます。

 

Progate | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate[プロゲート]

https://prog-8.com/

 

Udemy

オンラインビデオによる講座が充実している学習サイトです。データサイエンティストに関わるコースも多く、プログラミング言語の習得コース、データサイエンティストを目指すために必要な知識を説明しているコース、データのビジネス活用など実践的なコースがあります。また、定期的にセールが実施されているため、タイミングを見てお得に購入するのもおすすめです。

 

オンラインコース - いろんなことを、あなたのペースで | Udemy

https://www.udemy.com/ja/

 

 

データサイエンティストに役立つ資格

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データサイエンティストとして働くにあたって資格を取得しておくことで、採用時に有利にはたらくことがある他、業務で役立てることができます。

データサイエンティストにおすすめの資格は以下の6つです。

  • アクチュアリー資格試験
  • 統計検定
  • データベーススペシャリスト試験
  • オラクルマスター
  • 応用情報技術者試験
  • 基本情報処理技術者試験

 

1.アクチュアリー資格試験

アクチュアリー資格試験は保険数理士や保険数理人とも呼ばれており、データサイエンティストやIT業界で働く人たちだけではなく、保険業界の第一線で活躍する人も受験しています。この試験には第1次試験(基礎科目)において「数学(確率・統計・モデリング)」が含まれています。数学はデータサイエンティストの業務と重なる部分もあるため、データサイエンティストとしての知識について試験勉強を通して身に付けることができます。

 

アクチュアリー会

https://www.actuaries.jp/

 

2.統計検定

統計検定は統計に関する知識や活用力を評価する試験です。試験は4級~1級まで5つのレベルが設けられており、自分のレベルに合わせて受験できます。データ分析の基礎から統計専門力まで問われ、試験範囲は広いです。

 

統計検定:Japan Statistical Society Certificate

​​https://www.toukei-kentei.jp/

 

3.データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は国家試験の中でも難関であり、合格するにはしっかりと対策する必要があります。試験ではデータベースの基礎から管理・運用の手法、SQLの読み解きやデータモデルの構築まで幅広く出題されます。基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の上位資格であるため、これらの資格を取得したあとの受験がおすすめです。

 

データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/db.html

 

4.オラクルマスター

オラクルは国内におけるデータベース管理ソフトウェア市場で、絶大なシェアを誇っています。オラクルマスターではデータベースの管理や運用、SQLの扱いなどを取得できます。データベースの扱いはデータサイエンティストとして必須のスキルです。

 

ORACLE MASTER Portal - be an ORACLE MASTER - | オラクル認定資格制度 | Oracle University

https://www.oracle.com/jp/education/index-172250-ja.html

 

5.応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位資格です。基本情報技術者試験では選択問題ですが、基本情報技術者試験では一部の問題が記述式で出題されています。また、試験の難易度も高く、かつ試験ではテクノロジ系だけではなく、マネジメント系なども問われるため、しっかりとした対策が求められます。

 

応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html

 

6.基本情報処理技術者試験

基本情報技術者試験はIPAによる資格試験です。出題範囲はプログラミングやデータベース、さらにはプロジェクトマネジメントやストラテジストなど多岐にわたります。データサイエンティストとしてスキルを証明したい人はもちろん、ITエンジニアとしてキャリアアップしたい人にもおすすめです。

 

基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html

 

 

よくある質問

ここではデータサイエンティストについてよくある質問を4つ紹介し、回答していきます。

 

データサイエンティストはどのような職種ですか?

データサイエンティストとは購買履歴や顧客情報などからビジネスに活用する知見を洗い出し、分析などを行って、企業の意思決定をサポートします。ビッグデータの活用による経営戦略に貢献します。

   

データサイエンティストに求められる知識にはどのようなものがありますか?

ITセキュリティに関する知識、データ解析、機械学習といった高い専門性の知識が必要です。また、ビジネスに関する知識も求められます。

 

データサイエンティストに必要なスキルはなんですか?

データサイエンティスト協会の定義では必要なスキルとして、「ビジネス力」、「データサイエンス力」、「データエンジニアリング力」が挙げられています。また、数学や統計学、プログラミングなどのスキルも重要ですが、コミュニケーション能力やマネジメント力なども、円滑に仕事をする上で不可欠です。

 

データサイエンティストはどのような勉強をすればなれますか?

大学やスクールではデータサイエンティストとして必要な知識やスキルなどを取得できます。また、本などを活用し、独学で学んでいる人も少なくありません。

 

 

データサイエンティストを目指すなら“順天堂大学”

データサイエンティストになるために大学時代から学びたい方には、順天堂大学の健康データサイエンス学部がおすすめです。

同大学は千葉県の浦安市に所在しており、各エリアからのアクセスも良好です。また、大学周辺は落ち着いた環境でありながらも、学生生活を送りやすい環境になっています。

健康データサイエンス学部では「健康×データサイエンス」を大きなテーマとした、さまざまな学びの機会を得られます。統計学や数学、プログラミングなどの知識を取得できることはもちろん、3、4年次には実習の機会もあります。

同大学では就職のサポートも手厚く行っていますので、就職活動に不安を抱えている人も安心です。

 

健康データサイエンス学部|順天堂大学
https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/

資料請求|順天堂大学健康データサイエンス学部
https://www.umcnavi.jp/jtm/sm/index.asp

お問い合わせ|順天堂大学健康データサイエンス学部https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/contact/contact/

 

 

まとめ

データサイエンティストとしての知識やスキルを得るための学習方法はさまざまです。本などを活用すれば独学も可能ですが、大学や専門学校で学ぶという選択もあります。

大学でデータサイエンティストについて勉強する場合、効果的なカリキュラムに従い、仲間とともに学べます。また、教員から最新の動向についての話を聞くこともできます。さらに、就職のサポートも充実しているため、就職活動を効率よく進めていくことができます。

 

参考URL

https://ainow.ai/2020/11/17/247585/

https://x-tech.pasona.co.jp/media/detail.html?p=8371