卒業生インタビュー

2023.10.25 (Wed)

#01 グローバルヘルスの学びから、医療機器メーカーの道へ 宮澤 春樹さん(勤務先:テルモ株式会社)

医療現場を支え、人々の健康に寄与したい――

――大学時代の経験が、私をヘルスケアの道に導いた。


宮澤 春樹 さん

2019年3月卒業(第1期生)

所属ゼミ:田村ゼミナール「Health Care Lab

勤務先:テルモ株式会社

 

――現在のお仕事についてお聞かせください。

医療機器メーカーに営業職として勤務しています。薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster(アルチマスター)」を扱う部署で、大阪と兵庫の総合病院を担当しています。かつて心臓の冠動脈手術は開胸していましたが、ステントを使ったPCI(経皮的冠動脈形成術)という治療方法では、手首や太ももに小さな穴を開けるだけで処置ができ、侵襲性を抑えることができます。

当社の機器を正確にお使い頂くため、手術前に病院を訪問して医師やコメディカルスタッフに適正使用方法をお伝えしたり、場合によっては手術に立ち会わせて頂いたりします。治療戦略の一部をお手伝いできるのはこの仕事の醍醐味ですし、責任も感じますね。現在は国内の仕事が中心ですが、今後はマーケティング戦略の立案や、海外の新規市場開拓にも関わってみたいです。

――大学時代に得たスキルや経験はどのように役立っていますか。

業務上、医療論文に目を通す機会があるのですが、英語の論文を読むのがあまり苦にならないのは、大学の授業で論文の構造や読み方、書き方を学んだおかげだと思います。多忙なドクターのために論文を和訳して差し上げることもあり、とても喜んで頂けます。

英語だけでなく、スペイン語も日常会話に困らない程度で大学時代に習得できたので、海外事業に関わることになれば、改めてビジネスレベルまで学習したいと思っています。

 

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――どのような大学時代を過ごしましたか。

1、2年次に短期でスペインを訪れ、2年次の冬には半年間、スペイン・カルロス三世大学に留学しました。ヒスパニック文化を学ぶクラスで、大学寮で生活しました。大学寮の朝食で出てくるパン・コン・トマテ(バゲットにクラッシュしたトマトを塗り、オリーブオイルと塩を振りかけたスペインの家庭料理)がとても美味しかったのを覚えています。この時の寮生活での経験が、卒論の研究テーマ『スペイン人の食習慣の変遷とこれによる健康への影響』につながりました。

――印象に残っている大学の学びは?

強く心に残っているのは「医療倫理」の授業です。例えば「安楽死」をテーマにした映画を視聴し、良い面と悪い面の両方から検討するという内容だったため、命や医療の在り方について深く考えるきっかけになりました。また、異文化間のコミュニケーションについて学ぶ授業も興味深いものでした。日本社会はハイコンテクストカルチャーであるため、全てを言葉にせずに伝え合おうとします。対照的に、欧米は行間を読まない文化ですから、ハイコンテクストカルチャーで使用されるコミュニケーション方法で彼らと接してしまうと摩擦や軋轢が生じてしまう。そういったギャップについて学びました。広く浅く幅広い分野を学び、その中から自分が掘り下げたいものを見つけられるのが国際教養学部の特徴だと思います。

 

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――ゼミでの活動についてお聞かせください。

3年次から田村ゼミナール「Health Care Lab」に所属しました。12年次の必修科目で田村先生に出会い、そのお人柄に惹かれて選択したのですが、順天堂大学らしくグローバルヘルス領域を学びたいという気持ちもありましたね。

ゼミでは生活習慣病、特に糖尿病について学びました。糖尿病の治療はいかに患者さん自身が生活習慣を自制できるかに大きく左右されます。自制できない人が自律的に治療に向き合えるよう促すにはどのようにアプローチすれば良いのかを検討しました。臨床医でもある先生から医療関係の仕事について具体的なお話を聞く機会も多く、就職先として医療機器メーカーを志望するようになったのです。

――宮澤さんにとって「グローバル市民」とは何でしょうか。

一言で語るのは難しいですが、相手の文化を知り、理解する心をもつ人が「グローバル市民」だと思います。寛容性をもつことはとても大切です。

 

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――最後に、国際教養学部を志望する高校生にメッセージをお願いします。

自分が将来どのように生きていくのか考える時間をもってください。答えは出ないかもしれませんが、将来の道は大学に入ってから決めても全く遅くはありません。国際教養学部はWHO(世界保健機関)やJICA(国際協力機構)で働きたい、発展途上国で仕事をしたいという人にはもちろん向いていますし、私の後輩には医学部の大学院でヘルスケアを研究する人や、遺伝カウンセラーとして働く人もいます。様々な形で人々の健康に貢献し、社会課題の解決に役立てる道がありますので、グローバルな視点やヘルスケアに興味がある人には、ぜひチャレンジしてほしいですね。

 

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