卒業生インタビュー

2023.09.20 (Wed)

#03 認定遺伝カウンセラーとして、相手を理解し人生に向き合う A.Sさん(勤務先:昭和大学横浜市北部病院)

グローバルヘルスの幅広い学びと豊かな経験が拓いた進路――


A.S さん

2020年3月卒業(第2期生)

所属ゼミ:加藤ゼミナール「Global NCDゼミナール」

勤務先:昭和大学横浜市北部病院 臨床遺伝・ゲノム医療

    センター 認定遺伝カウンセラー

 

――現在のお仕事についてお聞かせください。

病院に勤務する認定遺伝カウンセラーとして働いています。遺伝子や染色体の変化によって起こる病気を持つ方や、そのご家族に対し遺伝カウンセリングを行っています。根本的に遺伝子や染色体を治すことは難しいため、その方々が人生を通してどう向き合っていくのかを考える必要があります。現在は周産期分野に関わることが多く、出生前診断などまだ見えない赤ちゃんへの不安に寄り添えるよう努力しています。一緒になって考え、真摯に向き合うことで、少しでも助けになっていると嬉しいです。

――現在の仕事に進まれた経緯を教えてください。

もともとグローバルヘルスの学びに惹かれて国際教養学部に進み、実際に医療に関する授業を受けるうちに興味を持ったのが遺伝分野でした。国際教養学部の学びはとても幅広く、その学びの中から何か一つ自分の専門を身に付けたいと感じて大学院進学を決意。臨床遺伝の分野をさらに深めることにしました。現在の仕事では、他人を理解する力が求められます。その点で、学部時代に培った異文化を理解する姿勢が役立っていると思います。

 

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――印象に残っている大学の学びは?

在学中に2度留学を経験できたことです。1年次にはスペインに1カ月程留学。スペイン語で行われる授業は内容も高度でした。理解するのに精一杯で、自分の意見を言うことがなかなかできませんでしたが、1カ月頑張り抜いたことが自信になり、帰国後も何でもやってみようというチャレンジ精神が身に付いたと思います。3年次にはフィンランドへ留学し、法律や経営、異文化交流、異文化コミュニケーションなど、興味のある分野を幅広く学びました。語学の勉強は大学4年間で一番力を入れたことですが、国際教養学部の語学の授業は「言語を使う」授業が多く、知識だけで終わらない学びになったと感じています。

――国際教養学部でよかったと感じたことは?

さまざまなつながりが生まれたことです。在学中は学部の先輩からの紹介で、テレビ局で翻訳のアルバイトをしていました。培った語学力を学生のうちから実践で使うことができ、良い経験になったと思っています。また、卒業後数年経った今でも先生方との交流があります。ゼミでお世話になった加藤先生は何かと気にかけてくださったり、スペイン語の吉田先生は先日仕事で近くに伺った際にご自宅にお招きしてくださったり、長く続くつながりができたことはすごく嬉しく感じています。

 

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――Sさんにとって「グローバル市民」とは何でしょうか。

私は「自分を確立すること」だと思っています。大学でさまざまな経験をして、外に行けば行くほど、自分の存在が分からなくなることがあると感じました。人と接するには自分が何者なのかを理解し、自分自身の軸や信念を持って行動しなければ、結局何がしたいのかわからなくなってしまうと思います。さまざまな国に行く機会をいただきましたが、私は日本人としてのアイデンティティをしっかり持った上でその場にいたいと改めて感じました。

 

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――最後に、国際教養学部を志望する高校生にメッセージをお願いします。

大学では純粋に学びたいと思うことにチャレンジしてほしいです。私も将来の目標が定まらないまま入学しましたが、今学びたいことを突き詰めて学んでいくうちに、進むべき道が見つかりました。自分の興味関心を見極めるのは難しいと思いますが、その先の自分にプラスになるはずです。

 

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