創薬科学領域 研究室紹介
医薬品化学
研究内容
化学は、医薬品の効果や病気の検査方法を理解する上で重要な学問です。医薬品は、私たちの体内の分子と化学的に相互作用し、その効果を発揮します。また、病気の検査には、多種多様な化学反応が利用されています。そのため、薬の作用や検査の結果を患者さんにわかりやすく伝えるには、化学の理解が不可欠です。私たちの分野では、治療や診断に関する課題を化学の力を活用して解決することを目指し、光や放射線を使用した新しい医療技術や、ペプチドや糖を用いた新規医薬品の研究を進めています。これらの研究を通じた実践的な化学の学びにより、学生さんが臨床で活躍する薬剤師や医薬品開発に貢献する研究者として成長することを目指しています。
生薬・天然資源学
スタッフ
研究内容
ポストゲノムの新時代を迎えた現在でも、医療現場で用いられる医薬品の約6割は天然物を起源とする化合物です。 生薬学は、自然界に存在する植物、動物、鉱物などの天産物から薬効成分を探求し、それらを医療や健康維持に応用する学問です。私たちのグループでは、独自に構築したスクリーニング手法により、薬用植物や培養微生物、海洋生物などの天然資源より、がん、炎症、アレルギー、感染症治療のための“くすりの種”(医薬シーズ)の探索を行っています。発見した“くすりの種”は、核磁気共鳴装置(NMR)や質量分析装置(Mass)などのスペクトルデータを用いた化学構造の解析や作用メカニズム解析のための化学合成も行います。
物理薬剤学
スタッフ
研究内容
「くすり」と「医薬品」は似た言葉ですが、それぞれの意味は少し異なります。「くすり」は有効成分そのものを指すのに対し、「医薬品」は「くすり」に様々な添加剤を配合して患者さんが使用しやすい形状(剤形)に加工した最終製品のことを指します(「医薬品」は「製剤」とも呼ばれます)。物理薬剤分野では、「くすり」を「医薬品」にするための製剤化研究に取り組んでいます。錠剤、クリーム剤、注射剤など様々な剤形の医薬品を研究対象として、それらの物理化学的性質を深く研究したり、最適な製剤処方や製造方法の設計を行っています。このような研究により、優れた品質や性能を持つ医薬品の開発に貢献したいと考えています。
創剤学
スタッフ
研究内容
様々なバリア機能をもつ身体に如何にして「薬」を届けるのか。薬を生体に適用するための最終形態(製剤)に仕上げる製剤設計はとても重要で、「必要な量を」「必要なところへ」「必要な時」に送り届ける薬物送達システム(Drug Delivery System;DDS)の技術を駆使して様々な医薬品が創られています。創剤学分野では、がんや網膜疾患などの未だ治療が困難とされる病気に対して、副作用が少なく有効かつ低侵襲的投与が可能な患者に優しく易しいDDS製剤の創製を目指しています。創薬モダリティの一つである核酸医薬品の治療効果を最大限に引き出すためのDDS技術として、脂質、抗体、ペプチド等の生体親和性の高い素材を用いたナノ粒子製剤化研究に取り組んでいます。
薬品分析化学
研究内容
私たちは、様々な分子の構造を明らかにすることで、生命現象を解明するとともに創薬への展開を目指した研究を行っています。研究対象としては、生体内で種々の反応を司るタンパク質や脂質などに加えて、医薬品開発を目指して合成した人工核酸や候補化合物などあらゆる分子を取り扱っています。これらの分子をX線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡による立体構造解析、質量分析による新規物質の同定や定量といった実験手法を用いて多角的に解析しています。