vol.011
海外レポート

「2015 Women Coaches Symposium」参加レポート
その1 概要

2015年4月17日、アメリカ・ミネアポリス市TFCバンクスタジアム(アメリカンフットボール場)クラブルームにて「第2回女性コーチシンポジウム(2015 Women Coaches Symposium)」が開催されました。このシンポジウムは、昨年度の第1回大会での成功と反響をふまえ年次イベントとされ、タッカーセンター、ミネソタ大学ゴーファーアスレティクス(University of Minnesota Gopher Athletics)、および米国女性コーチアライアンス(Alliance of Women Coaches)の共催により運営されています。
本シンポジウムの目的は以下の通りです。

1)女性コーチのためのより良い教育プログラムを提供し発展させること
2)女性コーチになるためのネットワークを提供すること                  
3)女性コーチのコミュニティを作ること                          
4)女性コーチの数を増やすこと                                                  
2015 Women Coaches Symposiumの様子

本イベントは、現役コーチ、また、将来、コーチを希望する女性および学生を主な対象として おり、大学、高校、ユースなどあらゆるレベルで指導を行う現役コーチおよびディレクターら、150名が参加しました。これらの参加者は、主にミネアポリス 市、隣接する州都のセントポール市から参加していました。参加者のほとんどが白人女性でしたが、女子チームを指導している男性コーチが4名、黒人、ヒスパ ニック系アメリカ人が5名いました。
午前のセッションでは、コーチとして理解すべき選手の心身面のサポート(怪我への対処、自 信のつけ方、精神力の高め方など)、女性コーチとして活躍する上で直面する障害、葛藤、克服方法について、研究からわかったことを中心に、活発な議論がお こなわれました。午後のセッションでは、女性コーチとして長いキャリアを持つゲストスピーカーによる講演、さらには、現役コーチおよび役員たちのパネル ディスカッションが展開され、スポーツにおける女性リーダーたちから、生の声が参加者に届けられました。
2015 Women Coaches Symposiumの様子

講演者は、以下の通りです(英文による講演者紹介はこちら)。

 【大会前ボーナスセッション】

  • コーチの必須本について
ジョディ・レッドマン(Jody Redman):元ミネソタ州高校リーグ副理事
  • ママコーチであること
エリカ・ランバート(Erika Lambert):Coach Mom, Inc. 創始者
  • コーチのためのデジタルブランド構築と管理について
オウスティン・スター・カルホーン(Austin Stair Calhoun, Ph.D.):ミネソタ大学キネシオロジー学科eラーニング・デジタル戦略グループ
 
【午前の部】

  • 怪我のリスクと対処について
ダイアン・ヴァイスビヨンスタール(Diane Wiese-Bjornstal, Ph.D.):ミネソタ大学准教授
  • アスリートのメンタルヘルス
キャリン・アンダーソン(Carlin Anderson, Ph.D.):心理学者(スポーツ心理学)、カウンセラー
  • 自信をつけさせるコーチング
リンダ・レクレア(Linda LeClaire):「The Confidence Factor」「Yes, God Speaks to Women, Too! 」「The Whole Kid Peace Activity Book」著者
  • 女性コーチの現状について
ニコル・ラボイ(Nicole M. LaVoi, Ph.D.):ミネソタ大学教授、タッカーセンター副主任
 
【午後の部】

  • ジーン・フリーマン(Jean Freeman:1973年〜2004年ミネソタ大学女子競泳・ダイビングチーム監督。2010年逝去)を偲んで
テリー・ガンレイ(Terry Ganley):ミネソタ大学女子競泳監督
  • 27年のコーチ生活を振り返って
スー・エンキスト(Sue Enquist):元UCLAソフトボールコーチ(27年間)、元全米代表ソフトボール選手
  • パネルディスカッション「運営者からみた女性コーチのあり方」
キム・チャンドラー(Kim Chandler):マカレスター大学(Macalester College)アスレチックディレクター
ジェン・フレイザー(Jenn Fraser):NSIC(Northern Sun Intercollegiate Conference)アシスタントコミッショナー
ベス・ゴーツ(Beth Goetz):ミネソタ大学ゴーファーアスレティクス、シニアアソシエートディレクター
ジョディ・レッドマン(Jody Redman):元ミネソタ州高校リーグ副理事

  • 女性コーチとして活躍するための戦略
マーリーン・ビヨンズロッド(Marlene Bjornsrud):米国女性コーチアライアンス エグゼクティブディレクター
  • 女子プロバスケットボール監督として思うこと
シェリル・リーヴェ(Cheryl Reeve):ミネソタ・リンクス(女子プロバスケットボールチーム)監督
 

井上 好

ライター紹介
井上 好

国立大学法人鹿屋体育大学修士課程修了。
2014年9月より、ミネソタ大学大学院身体運動学科(アメリカ・ミネソタ)にて、女性スポーツ及びヘルスプロモーションを専攻。
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