誰もが活動的に過ごせる環境づくりへ
女性の運動・スポーツへの参加に関する社会・文化的な固定概念に対し、近年、世界各国でマスメディアを用いた大規模なキャンペーンが実施されています。スポーツイングランド(イギリス)の「This Girl Can」はその代表的なキャンペーンであり、女性が見た目や体型、能力に関わらず、女性が活動的に過ごすことができる社会を目指して活動を行なっています[8)]。このような取り組みは、男女共同参画を推進し、女性のスポーツ参加率の向上につながるでしょう[9)]。また、女性がより活動的になることは、世界保健機関(WHO)が掲げる「2025年までに身体不活動者の割合を10%低下させる[10)]」という目標達成に大きく貢献します。ヒトの行動や社会的・文化的習慣を変えることは大変な労力を伴うことですが、多機関(学校、地域、家庭、行政、民間企業、研究機関など)が連携することで実現できるはずです。私も「老若男女問わず誰もが活動的に過ごしていけるような社会」を目指し、今後も活動していきたいと思います。
【注釈】
※1運動スポーツ系種目と運動あそび系種目の代表例
運動スポーツ系種目:サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール等
運動あそび系種目:おにごっこ、かくれんぼ、なわとび、かけっこ等
【参考文献】
1) 竹中晃二: アクティブ・チャイルド60min-子どもの身体活動ガイドライン-, 株式会社サンライフ企画, 東京, 2010
2) WHO Global Health Observatory. Prevalence of insufficient physical activity. http://www.who.int/gho/ncd/risk_factors/physical_activity/en/
3) 城所哲宏ら: 日本人中学生における身体活動ガイドライン達成状況に関連する要因の検討. 体力科学. 2016; 65: 383-392.
4) Sallis et al. Progress in physical activity over the Olympic quadrennium. Lancet. 2016; 388: 1325-1336.
5) スポーツ庁: 平成27年度体力・運動能力調査結果: 各年代の運動・スポーツ実施状況及び過去との比較. http://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/10/11/1313779_005.pdf
6) 女性スポーツセンター: 女性スポーツオンライン. 女子の身体活動Vol.1 Start Active! Stay Active!~からだを動かす習慣をつけよう!~. http://www.juntendo.ac.jp/athletes/portal/research/research5.html
7) 笹川スポーツ財団: 青少年のスポーツライフ・データ. 10代のスポーツライフに関する調査報告書.
8) Sport England. This Girl Can. https://www.sportengland.org/our-work/women/this-girl-can/
9) Brown et al. Gender equality in sport for improved public health. Lancet. 2016; 388: 1257-1258.
10) WHO. Global action plan for the prevention and control of NCDs 2013-2020. Geneva: World Health Organization, 2013.