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順天堂大学シンポジウム
幸福寿命を延ばす医療イノベーション ~ロコモ予防(スポーツ・健康・医療)を考える~ より

パネルディスカッション

「次世代のロコモ予防(スポーツ・健康・医療)を考える」(3/3)

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大江:今、せっかく検診のお話をいただいたので。
日本整形外科学会では、今年度中を目処に、ロコモ度テストをもう少し進めた、ロコモの何らかの基準値のようなものを暫定的に発表しようと思い、今、横断研究と縦断研究のまとめをしているところです。今年度中には発表できるのではないかと思います。 また、先ほど福永先生が言われた教育の話は、非常に大事だと思います。私は東大の非常勤講師もしています。整形外科の系統講義を1コマ、ロコモについてさせていただいています。今、3年目ぐらいです。
1年目は出席した学生のうち、ロコモを知っている人は1割、2割。ほとんどいませんでした。まじめな学生しか出席しないのですが。
これが、今年聞いてみると、学生の認知度がなんと、何故か60%まで上がっていました。何故なのかよくわからないと思っていたら、ある先生から「だって、前の年に卒業試験に出したでしょう」。学生とはそういうものです。一気に認知度が6倍です。ロコモにかかわらず、体を知ることは大事だということを、何かしらのもので、大学試験でもセンター試験でも良いのですが、そういうところに入れていただくと良いのかもしれません。
運動器は大事だということが、人生の長い教育のどこかに入っていくと、ものすごく変わるのではないかと、最近ちょっと思いました。

内藤:順天堂大学での認知率はわかりませんが、今度ぜひ、調べていただいて。一気に上がるように。
あまり時間もありませんので、少々視点を変えて。このディスカッションの一番のテーマである「次世代のロコモ予防」。今、教育という観点からの提案がありました。もう少し別の観点から「次世代のロコモ予防」について、何か提案があれば。
たぶん、こういうことをしていくには、どうしても人材の育成や人材をどう活用していくかといったシステムを考えるのがとても重要だと思います。その観点からご提案があれば。あるいは、在宅では女性医師の活用が大きなキーワードだと伺っておりますが。

パネルディスカッション写真

濱田:もう1つのキーワードは、「個別のニーズに対応する体制」だと思います。収集したたくさんのデータをコンピューター処理して発信者に返すシステムが既にありますが、私たちは付加価値としてトレーニングを受けたり、専門的な知識を持った者が、個人個人の状態にあったアドバイスをお返しするというシステムが今後必要だと思っています。その意味で、情報収集したものに対して答えられる人材育成や、専門的知識のある人たちがどこからでもレスポンスできるというような双方向システムが必要です。
たとえば自宅に潜在的にいる看護資格がある方や保健師は東京エリアにはたくさんおられます。しかし、人材の地域の偏在は大きく全国規模は、人材不足が深刻な地域もあります。どのエリアでも、自宅に専門的なレスポンスでき、紋切り型に「体操が必要です」ではなく、現在の体調にあった体操メニューを返すいう細やかなレスポンスのシステムが、今後必要だと私は考えております。

平澤:「次世代のロコモ予防」ということで、医療や介護といった財源を超えた、もっと一般的な、産業界あるいは消費者から自然にニーズが出て、それを消費者が買っていくような、そうしたものも必要なのではないでしょうか。医療と介護だけでやろうとすると、国の財源や国の規制が変わったときに、そこで途切れてしまう。在宅診療や遠隔に関しても、3年間の予算の中で成果を上げても、補助金が終わった段階で終わってしまう。それを考えると、このCOIでは、それ以外のところで産学連携で発信できると、厚労省でもなく、というところで新しい産業を生んで、医療費削減ではないところで皆が健康になれる。このようになると良いと思っています。

大江:先ほどの「赤いところ」を見ている立場から申し上げますと、ロコモの疾患は究極のところを言うと、たとえば、変形性膝関節症が非常に悪くなれば、人工関節に取り替えれば治るのです。背骨が悪くなれば、背骨の手術をして、穴を広げて金具を立てて背骨をまっすぐにすれば、ある意味、治るのです。
高齢者がいろいろな病気にかかり、それを治して、最後に残るのが骨粗鬆症なのです。私が長く診ている患者は、3つの病気を持って2つ手術し、骨粗鬆症を今もずっと治療しています。ここを何とかしないと、病気ということから言うと、長期的に非常に困ることになると思うのです。
女性の方には特に自分の特性を。人によっては、50歳ぐらいから女性の骨はものすごい勢いで減っていくのです。そこをなんとかディテクトして、減る人は薬物治療を早く行わないと、ものすごい、ひどい骨粗鬆症になり、それは防げないと思います。それを何とかしていただきたくて、骨粗鬆症学会も頑張っています。
今、骨粗鬆症は1300万人。それだけ、骨密度が低下した人たちがいます。そのうち、薬物療法を受けている人たちは10%から20%ぐらいです。そこを何とかする仕組みが大事ではないかと思うのです。
骨粗鬆症は症状がないのです。骨が減るだけで痛くもかゆくもないのです。しかし、折れたときに、骨折という形で痛みが出ます。そこを何とかしなければ。
ほぼどの自治体も、骨粗鬆症検診を無料で行えるようになっています。しかし、その使い勝手やアクセスが悪く、実際には骨粗鬆症検診率は非常に低いのです。当事者側から「女性は50歳になったら自分の骨密度ぐらい知りたい」と言うようにならなければ。折れてから、ものすごくひどくなってからではどうしようもない。企業の検診に入れていただいてもよいと思います。知恵を絞って、何とかやっていただきたいと思うのです。折れていない段階で骨密度を測らないと、骨粗鬆症はわかりません。骨密度は機械でないと測れません。しかも、正確な骨密度はデキサという機械を使って測らないとわかりません。しかし、そのアクセスがすごく悪い。各自治体の骨密度検診の受診率が低いのは、病院に行かなければ骨密度が測れないからです。健康な人は病院へ行くのが嫌です。そこを、医療を超えたレベルで行うと、日本はその点ではハッピーになるのではと思います。

伊坂:大江先生にも、松田ビジョナリーリーダーにも、いつも薫陶を受けています。オールジャパンでやれ、と。やはり、日本を良くするには皆さんで知恵を出しなさい、かつ、異業種も含めてやらなければならない、と。先ほどの「小宮山先生の知識の構造化」のお話や、関連付けをどうするか。会社に行っている間は検診に行きますが、やはり最後のところでは個別になって、地域に行くと思います。
やはり、ソーシャル・キャピタルを日本がもう一度取り戻すこと。ちゃんと挨拶をしたり、お互いにうまくコミュニケーションできるという地域社会をどう活性化するかというところに、最後は行き着くのではないでしょうか。それがなくなってくると、当然、安全のためにはいろいろなお金をかけたり、するわけです。そうではなく、そうしたお金は別の所へ回せるような形にする。単純に、そうはいかないとしたら、医療並びに運動する、あるいは企業がコラボする。そこが、我々が今やっている事業の先です。研究者はそこへ向かわなければいけない、企業も向かわないといけない。そのように思っています。そのために、人はどのようにして最後まで生きたいか、これが大事なことだと思います。

これはアメリカの事例ですが、銀行員を辞めて、60歳で太っていて、運動しようと思い、ピラティスをして健康になってスレンダーになったのですが、突然がんの宣告を受けて、しかし、延命治療はしない、僕は最後まで人間として歩いて行きたい、ということでピラティスの先生や奥さん、周囲の人が、何とか彼の体を保護し、最後の日までピラティスをしたという話を聞いて、そういう世の中に地域も医療も企業も貢献できるような日本になってほしいと思いました。今日、皆さんのお話を聞いて、そう思いました。ありがとうございました。

内藤:まだまだディスカッションしたいのですが、時間が押してしまっています。ロコモの経緯、提案された知識の構造化、大変重要なキーワードだと思います。そのあたりから、伊坂先生がまとめてくださいました。 最後に先生方から一言ずつお言葉をいただいて締めたいと思います。

石島:医者の立場を超えてお話しさせていただきます。先ほどもお話があったように、たぶん、我々人間は、何かをぶら下げないと動かないのかもしれません。我々の社会はバリアフリーという方向で進んできました。障害を持っている方に対してアクセスを良くするという欧米からの流れに沿ってきて、それがだいぶ達成されてきたところだと思います。しかし、今日のお話のように人間は動かなければいけないという発想になると、動けない人のためのバリアフリーであって、逆に動ける人はちゃんと動いてください、という方向性になるのかなと考えています。
我々は骨粗鬆症にも取り組んでいますが、順天堂に歩いて受診することができる平均70歳の骨粗鬆症の方の約半数が、ビタミンDが不足していることがわかりました。半数、もしくはそれ以上ということは、病気と考えるよりも、生活習慣との関連が強い可能性はないのかと考えています。今日も示されましたように、20から40歳代の健康な方でもロコモ度が低い方が相当数存在します。それは病気なのか否かは別に考えて、動かなくなっていることと関連があるのではないかと推定されています。その意味では「バリアフリーがいけない」という話ではなく、動ける人は動かなくてはいけない、それをどのようにしてわかっていただくかが問題となり、それはたぶん教育の問題になっていくと思います。
しかし、動きたくてもそれが叶わない方もいらっしゃいます。そこに対しては、我々医療関係者は介入しますが、全体としては、動ける人は自分たちで動くということを考えながらやっていかなければならないと思っています。

大江:たくさんロコモロコモと言わせていただきました。1つだけ言うとすると、今日来ている方は男性が多いと思うので、ぜひ、奥さんやお母さんなど、身近にいる大切な女性の骨密度を測って、どれくらいなのか知っていただくことが、そのファミリーや集まりの幸せにつながると思います。

伊坂:手に入れたものはなかなか手放せない。スマートフォンもそうですし、車も、電車も。しかし、「3人本気の人がいれば、世の中は変えられる」と言われています。ここにお集まりの皆さんであれば、必ず明るい日本に変えられるのではないかと思います。ぜひ、一緒にやらせていただければと思います。今日はありがとうございました。

濱田:このCOIは、「昔の良かった日本を少し取り戻そう」というテーマが含まれていると思います。「頑張って自力で生活していた」という日本の生活スタイルに、ちょっとしたサポートをすることでその生活が続けられるということが、もう1つのポイントだと思います。それがロコモであったり、在宅医療であったりすると思います。ぜひ皆さんのお知恵とお力をお借りして、このテーマを発展させていければと思いました。ありがとうございました。

内藤:先生方、どうもありがとうございました。この後、懇親会という形で情報交換会がございます。この続きはそちらの方でしていただけるかと思います。
COIが目指す「アンダーワンルーフ」。今日、ご参加の皆様のお力を借りながら、順天堂大学、日立製作所さん、ニッピさん、そして立命館大学、関連企業の方々、皆さんで幸福寿命を延ばすための医療イノベーションにつなげていきたいと思います。今後とも、どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
つたない司会で申し訳ございません。これでパネルディスカッションを閉じさせていただきたいと思います。
先生方に大きな拍手をお願いいたします。

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