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突然死の法病理学
  脳動脈瘤/解離や心筋梗塞破裂、高血圧性脳出血の責任血管破綻の病理発生、冠動脈攣縮・好酸球性冠動脈周囲炎(梶原病)の病理、乳幼児突然死症候群の病態などについて検討しています。
左右心臓血のプランクトン検査への応用
  溺死の剖検診断は、法病理学的には肺の過膨張や水腫,気道内の白色細小泡沫の存在などを総合して診断しますが、体内のプランクトン検査もその有力な補助手段として広く行われています。体内のプランクトン検査は、溺水時に肺胞の毛細血管を経てプランクトンが大循環系に入り、それらが体内の臓器にトラップされているという理論的前提のもとに、組織を化学的に処理(壊機法)して、その有無や種類、個数などを検査するものです。しかし、壊機法は有毒ガスが発生するのに加え、検査者のスキルの差が大きく出てしまいます。さらに、組織採取時の外部プランクトン混入(汚染)の疑念がつねにつきまとう検査法です。
本研究は、心臓血を検体としたときのプランクトン検査の有用性を明らかにするのが目的です。心臓血は、非汚染的な採取が容易であり、管理も簡便で、検体としては最適であると考えられます。もし肺からプランクトンが大循環系に入り、全身に分布するというのであれば、左心系(とくに左心房)内が、右心系内に比べて、数量が格段に多いはずで、溺死例で左右心血の間でプランクトン数量に明瞭な差がでれば、血液検体でのプランクトン検査の有用性を証明することができます。
科学捜査に有効な鑑定手法の開発
  <血痕の陳旧度推定のためのマーカー探索>
犯罪捜査において、犯罪現場や着衣等に遺留された血痕は重要な証拠となります。血痕の持ち主はDNA型検査により簡単に判明しますが、血痕の陳旧度(付着時期)を推定するような検査法は確立されていません。そこで、血痕の陳旧度を推定できるマーカーを探索し、検査法の確立を目指しています。
  <「一重まぶた・二重まぶた」を推定するSNP検査キット「Eyelid-plex」の構築>
次世代シーケンサーによる遺伝子解析技術が犯罪鑑識にも導入され、一塩基多型 (SNP型)解析により、髪の毛や瞳、肌の色等が決定できようになり、DNAプロファイリングが現実になろうとしています。これらの色の推定は多民族国家である欧米各国においては有効ですが、ほぼ単一民族国家である日本では個人間でこれらの色にほとんど差異はなく、有用性に乏しいと考えられます。そこで私たちは、日本人に有効なDNAプロファイリングマーカーを探索するため、まず見た目にも印象の強い、「一重まぶた・二重まぶた」に注目し、これらを決定するSNPを特定することを目的としています。マーカーとして機能できれば、身元不明白骨死体などから復顔の際や、似顔絵作成の際の有効な捜査情報として、事件解決の糸口になることが期待されます。
遺伝子解析による牛黄の産地識別
  牛黄は、ウシの胆のう中に生じた結石であり、生薬として用いられています。牛黄の産地として、オーストラリア、中南米、インド、アフリカなどがありますが、産地により価格が大きく異なり、なかでもオーストラリア産は高品質であることから高値で取引されています。そのため、産地を偽って販売されるおそれがあり、正しい産地の表記で流通させるためには、牛黄の産地を識別できる検査法が必要です。本研究では、一塩基多型解析、ゲノムワイド塩基配列分析、ミトコンドリアDNAシーケンシングといった遺伝子解析により、牛黄の産地を識別する検査法の確立を目指しています。