発表論文の解説
「肝臓オートファジーの役割とその異常と肝疾患」に関する包括的な総説
Autophagy in the liver: functions in health and disease.
Ueno T, Komatsu M.
Nat Rev Gastroenterol Hepatol. in press
英国科学誌「Nature Review Gastroenterology & Hepatology」 (Impact factor: 14.435) オンライン版に分子遺伝学の小松雅明教授と順天堂大学医学部 上野隆客員教授が「肝臓オートファジーの役割とその異常と肝疾患」に関する包括的な総説を発表しました。
オートファジーは細胞内の分解小器官であるリソソームにおいて細胞質成分を分解する機構と定義されています。本年度のノーベル生理学・医学賞は「オートファジーの分子メカニズムの解明」で大隅良典栄誉教授(東工大)に授与されたことからもわかるように、オートファジーの生体における重要性が明らかになってきました。
本総説では、
- 1960年代のラット肝臓を用いたオートファジーの発見
- ラット肝臓を用いた初期オートファジー研究がもたらした知見
- 大隅博士らによるオートファジー関連遺伝子群ATGsの同定によるブレイクスルー
- 糖新生、β酸化といった基本的な肝代謝におけるオートファジーの役割
- 様々な転写因子による肝臓オートファジーの時空間的制御機構
- 肝オートファジーの異常と非アルコール性脂肪性肝疾患や肝細胞がん発症
等から構成されており、オートファジーの歴史に加えて、最新の肝臓オートファジーの生理的役割、そしてヒト疾患との関わりを解説しています。