• 大学院医学研究科免疫診断学講座 ハイジッヒラボに関する様々な情報をご案内します。

RESEARCH

プロテアーゼは、成長因子とその受容体、細胞接着分子、サイトカイン、アポトーシスリガンド、血管新生因子など、特定の基質の高度に選択的かつ限定的な切断を行います。プロテアーゼの標的分子を理解すると、増殖、分化、移動などの基本的な生物学的細胞機能に関する重要な洞察が得られますBeate Heissigの研究室は、プロテアーゼが正常および病的状態、すなわち炎症、癌の成長、組織再生(血管形成)、および幹細胞の運命における細胞の挙動を制御する調節機構の包括的な理解を求めています。組織特異的な細胞の生成とは別に、機能的な血管ネットワークは、組織の再生と癌細胞の成長を改善するために必要です。ラボのもう1つの焦点は、プロテアーゼが血管形成(血管新生)を調節する方法を研究することです。最終的には、末梢虚血、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、血栓症などのがんや心血管障害などの疾患の新しい治療標的を特定することが私たちの使命です。

現在のプロジェクト

1. 幹細胞生物学および組織再生におけるプロテアーゼの役割の理解

【キーワード】幹細胞、組織再生、癌、細胞外マトリックス、血管新生、プロテアーゼ、臓器特異的幹細胞

成体幹細胞は、臓器/組織の維持と完全性を確保し、組織特異的な細胞に分化することにより、損傷した組織の再生・修復を加速します。

  1. 私たちは、造血系をはじめとする臓器・組織特異的幹細胞による生体恒常性の維持機構を精査しています。分子生物学、細胞生物学的、また免疫学的アプローチにより、造血幹細胞に代表される成体幹細胞の自己複製プログラムにおける細胞外環境、特にプロテアーゼの機能解明を進めています。また癌細胞は、幹細胞と類似した性質を有しており、近年、癌幹細胞の概念も確立しつつあることから、こうした環境因子、また幹細胞システムが癌病態で果たす役割についても主題としています。私たちの研究室では、こうした幹細胞や癌の研究に興味のある世界中の学生を歓迎しています。研究室の主要言語は英語です。
  2. 成体幹細胞の一つである間葉系幹細胞(MSC)は、その多分化能と免疫調節能力により、再生医療はもとより、変性疾患や免疫炎症性疾患の治療応用にも、大きな可能性が示唆されています。多くの幹細胞と同様、MSCの有効利用法の確立は、再生医療上の重要課題です。現在、当方は、in vitroにおけるMSCの増幅法、また臓器再生、免疫疾患及び悪性疾患治療におけるMSCの有用性について、疾患、ストレスモデル、また臨床検体を利用した研究を進めております。 Heissig研究室では、プロテアーゼをはじめとする環境因子や他系統細胞との相互作用が、MSCの生理学的、生物学的機能制御、そして臓器・組織再生において果たす役割を解明することに注力しています。

2. 正常および異常血管新生を支配する分子機構の解明

【キーワード】内皮細胞、血管新生、組織再生、プロテアーゼ

血管内皮細胞(EC)は、臓器・組織の恒常性維持、組織再生の支持、また腫瘍増殖を制御するばかりでなく、近年は、その内分泌機能による多くの細胞動態に関与していることが示唆されています。 過剰な血管新生は、癌、炎症、感染などを含む多数の疾患の進行を促進すると言えます。したがって、血管新生の調節・制御は、様々な疾患に対して、魅力的な治療戦略として浮上しています。 私たちは、新規血管新生因子、あるいはその阻害剤の作用機序の解明を中心として、固形癌や血液腫瘍性疾患、血管閉塞性疾患の治療、また臓器組織再生の促進法開発の基盤形成に注力しています。

研究ツール

マウス
  • 疾患モデルおよび遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)
  • 臨床グループとタイアップした検体採取とその利用
  • 癌・悪性腫瘍:大腸癌、血液腫瘍性疾患、免疫・炎症性疾患、移植関連疾患
  • ウイルスを使用した遺伝子ターゲティング(アデノ、レンチ、レトロ) CRISPR / cas9テクノロジーを使用
  • その他:フローサイトメトリー、マウス操作、基礎分子遺伝学

ラボの特徴

私たちの目標は、最先端、かつ国際的競争力を有する研究、そしてトランスレーショナルリサーチ、またvividな科学的交流のための国際的プラットフォームの提供です。
これまでの研究室員は、生物学、薬学、農学、医学(内科系、外科系)など、多様な分野を背景とした学生で構成されています。 さらに、日本はもとより、チュニジア、パレスチナ、タイ、オランダ、ニュージーランド、ドイツなど世界中から国際色豊かなメンバーが集まりました。ダイバーシティー・多様性こそが、キーワードです。 ラボでは、英語が主要言語として使用されますが、臆する必要はありません。一緒に勉強していきましょう。
研究室は、ヨーロッパ、米国、およびアジアの研究機関とも協力関係を結んでいます。

世界地図
順天堂大学本郷キャンパス