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からだと心の成長を“科学する” — 発育発達学・測定評価学研究室

発育発達学・測定評価学研究室
鈴木宏哉 教授

子どもの“成長”にとって、運動はどんな影響があるのでしょうか?

順天堂大学スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科の「発育発達学・測定評価学研究室」では、子どもの体力身体活動フィジカルリテラシー3つの柱に据えて研究を進めています。

この記事では、研究活動の概要と社会との関わり、そして後編では院生の声を通して、研究室のリアルな姿をご紹介します。

 

研究成果を社会へ、子どもの育ちをより良く支えるために

本研究室は、生涯を通じたアクティブライフの実現につながる成人期以前の社会生活環境要因、そして身体活動と身心の発育発達・健康に関する研究に取り組んでいます。発育発達学、測定評価学、体力学、運動疫学、体育学の手法を駆使し、身心の発育発達を科学的に解明します。研究成果を教育現場へ、そして社会に還元し、子どもたちを支える大人の意識・行動を変え、子どもたちの健やかな成長を支える研究拠点です。

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子どもたちの健やかな育ちを支える3つの柱研究アプローチと視点

本研究室で取り組んでいる研究分野は大きく3つに分類できます。

子どもの「体力」に関する研究

1つ目は体力研究です。子どもたちの体力の実態や経年変化を明らかにするとともに、体力に影響を与える要因(規定因子)を探っています。また、子どもの頃の体力が、成人期の健康や生活習慣にどうつながっていくのかも重要なテーマの一つです。

幼児期の「身体活動と発育発達」に関する研究

2つ目は子ども(特に幼児)の身体活動(運動・スポーツ)に関する研究です。特に幼児期の運動やスポーツが、子どもの心と体にどのような影響を与えるのかを多角的に検討しています。運動遊びと基本的な動作の習得、認知機能や社会性との関連、さらには保護者や教師といった大人が子どもの運動習慣に与える影響も、注目しているポイントです。

「フィジカルリテラシー」に関する研究

3つ目は、フィジカルリテラシー研究です。“フィジカルリテラシー”(生涯にわたる身体活動の価値を認め、参加するための動機、自信、身体能力、知識、理解と定義されることがある)についても、評価方法の開発や、運動・スポーツ・健康との関連性を中心に研究を進めています。

 

研究手法としては、教育現場での体力測定のほか、加速度計や映像を用いた身体活動の量と質の評価、視線計測による社会的認知評価、質問紙法による体内時計(朝型・夜型)や心理社会的健康の評価などを行っています。

社会実装へ向けた研究連携子どもと未来を支える多様なネットワーク

本研究室は、大学院生や博士研究員、研究補助員、他機関の研究者(協力研究員)など、総勢30名で構成され、それぞれの専門性を生かして協働しています。研究室の活動は、研究にとどまらず、子どもたちの成長を支える実社会の現場と密接に連携していることが特徴です。

自治体や企業との協働で実践へ

自治体の子育て支援・スポーツ振興の担当部署と協力し、保育園や幼稚園での「運動遊び介入」の実践と、その効果の検証を行っています。また、民間企業と連携して、暑い環境でも安全に体を動かせるグッズの開発を進めたり、保育者や保護者の関わりが幼児の発達に与える影響についても調査・研究を重ねています。

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海外との共同研究も活発に

アジア太平洋地域の研究者とともに子どもの体力に関する国際比較調査を実施するなど、グローバルな視点での研究も展開中です。特に中国からの留学生が多く在籍していることもあり、日本と中国を対象とした子どもの健康に関する共同研究も数多く行っています。

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長期追跡研究で見える“若年期と中高年期のつながり”

順天堂大学スポーツ健康科学部では、50年以上にわたって全学部生を対象に体格・体力測定を続けています。そして、卒業生を追跡するかたちで、若年期の体力や運動経験が、中高年期の健康や運動習慣にどう影響するのかを明らかにする研究(Juntendo Fitness plus Study : J-Fit+ Study)も行っています。これらの成果は、成人期以前の運動・スポーツ環境の改善に役立っています。

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研究の歩みを見える化!— 博士前期課程・博士後期課程のスケジュール早わかり

発育発達学・測定評価学研究室では、大学院生が各自の研究テーマを深めながら、実践と連携した学びを積み重ねています。
下図では、博士前期課程(2年間)と博士後期課程(3年間)でどのようなステップを踏み、どのタイミングで重要な取り組みがあるのかを一目でわかりやすく紹介しています。
院生生活の全体像をつかみたい方、進学を検討している方はぜひ参考にしてください。

2025-08-22ver 博士前期:7研究室ものさし_発育発達学・測定評価学研究室

  

2025-08-22ver 博士後期:研究室ものさし_発育発達学・測定評価学研究室

からだと心の成長を“科学する” — 発育発達学・測定評価学研究室~大学院生たちのリアルな声~

発育発達学・測定評価学研究室では、研究成果の社会還元を目指し、多様な立場の研究者たちが実践的な活動に取り組んでいます。後編では、実際に研究に取り組む大学院生たちの声を通して、研究室での学びや研究内容、そして将来のビジョンをご紹介します。

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