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2022.09.07 (WED)

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小児に対するロボット支援下胆道拡張症手術が保険収載

~子どもにとって大変優しく精度の高いロボット支援下手術を選択しやすくなりました~

順天堂 小児外科(主任教授 山髙篤行)は、全国に先駆けて小児にロボット支援下手術を導入し、これまでに先天性胆道拡張症・縦隔腫瘍・腎盂尿管移行部狭窄症に対しロボット支援下手術を49例施行しております。
ポイント
  • 小児に対するロボット支援下胆道拡張症手術が2022年4月に保険収載されました
  • 正確な運針操作が可能であることから、より精度の高い手術を提供できます
  • 腹腔鏡下手術と同様に手術創は目立ちません

先天性胆道拡張症とは

胆汁の通り道である胆管が拡張する疾患で、膵管と胆管の先天的な合流異常が原因とされています。小児に多い病気であり、放置すると胆管がんを発症するリスクが高まるため、拡張した胆管を切除する必要があります。2016年に腹腔鏡下での胆道拡張症手術が保険収載されて以降、傷が小さく体への負担が少ないといった長所から、小児でも腹腔鏡下手術が広く行われてきました。しかしながら、小児では胆管が非常に細く、腹腔鏡下での運針・縫合に大変苦労することが少なくありません。
その腹腔鏡下手術の欠点を解消すべく、順天堂小児外科では院内倫理委員会の承認のもと、2017年に胆道拡張症に対するロボット支援下手術を全国に先駆けて小児に導入しました。ロボット手術では、開腹手術と同等、それ以上の緻密な運針・縫合を腹腔鏡手術と同じ小さい創から行うことができます。順天堂医院小児外科・小児泌尿生殖器外科では、既に小児の胆道拡張症に対し、19例のロボット支援手術を施行し、極めて良好な治療成績を収めています。

※小児におけるロボット支援下手術の動画について
URL:https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/shonigeka/about/operation/

ロボット支援下手術の利点について

腹腔鏡下手術に比べ、正確で緻密な精度の高い運針と縫合を行うことができる点です。腹腔鏡下手術では、運針・縫合を開腹手術と同等のクオリティで行うことは極めて困難です。しかし、ロボット支援下手術では可能になります。
次にロボット支援下手術は、腹腔鏡下手術と同様、低侵襲手術であることです。成人に比べて体力のない小児への負担を軽減することができ、開腹をしないため手術創も目立たないという点でも、子どもにとって大変優しい手術といえます。

山髙先生

順天堂附属病院群での実績・件数について

順天堂小児外科は順天堂医院のほか、練馬病院、浦安病院、静岡病院でも多数の手術を実施し、小児外科領域では本邦最多の手術件数を誇っています。ロボット支援下手術に関しても順天堂医院・練馬病院・浦安病院で日常診療として行い、2022年4月に開設した静岡病院小児外科でも施行が予定されています。

保険収載について

2022年4月、小児に於いてもロボット支援下胆道拡張症手術が保険収載されました。これにより、これまで自由診療で、高額な医療費が必要とされていたロボット支援下手術の経済的負担が軽減され、患者さんとそのご家族にとってより良い治療の選択肢が広がりました。

今後の展開

ロボット支援下手術は小児外科の分野では未だその認知度が低いのが実情です。今後も順天堂小児外科では小児においても積極的に「ロボット支援下手術」を導入し、一人でも多くの子どもに、より安全・安心・精度の高い手術を提供できるよう努めると同時に、ロボット支援下手術の更なる展開を推し進めていきます。

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順天堂 小児外科における「ロボット支援手術」について(2020.03.31)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200331-04.html

「技術的にもとても難しく、大きな責任感を伴う小児の手術だからこそ、「この子が自分の子どもなら」という気持ちで取り組む」(2021.08.17)
https://goodhealth.juntendo.ac.jp/story/000169.html