研究室 研究室紹介

生化学

研究内容

私たちのグループでは、糖脂質やリン脂質などの脂質分子とその代謝産物、糖脂質が生体膜上で特異的に創り出す膜マイクロドメインがヒトにおける分化発生や、感染免疫応答、炎症などを含むストレス代謝などにどの様に関わっているかを明らかにすることを目指しています。特に、免疫担当細胞の脂質マイクロドメインを介した自然免疫応答の分子機構を詳細に解析しており、その過程で解明した病原性抗酸菌の殺菌回避の分子機構の結果を発展させ、病原性抗酸菌感染症の分子機構の解明と治療法の開発にも取り組んでいます。

分子生物学

研究内容

老化は誰もが遭遇する身体の衰えであり、老化が過度に進むと加齢性疾患となります。分子生物学分野では、これまで研究してきた炎症に関わる酵素や、細胞内シグナル分子の発見・同定と、その分子メカニズム解明の経験を生かし、新たに老化の基盤となる細胞老化の分子メカニズム解明をスタートさせました。生化学・分子生物学的アプローチと、顕微鏡/イメージング解析による分子メカニズムの解明、またiPS細胞を用いた加齢性疾患に関わる細胞の表現型変化の解析などを通じて、疾患における老化細胞の役割解明に取り組んでいます。これら研究をもとに、加齢性疾患の予防・治療に役立つ機能性分子の探索・発見を目指しています。

生体応答情報学

研究内容

生体応答情報学では、生命の基本単位である細胞が周囲の環境をどのように感知し、情報伝達・応答するのか分子レベルでの解明に取り組んでいます。特に、がんや炎症患部で見られる浸透圧・酸化ストレス環境、物理的な力などに対する応答で、細胞内液-液相分離、免疫代謝、細胞競合という比較的新しい細胞生物学的概念が関与することを発見し、その分子基盤と情報伝達の解析を進めています。創薬の過程でも重要な分子の機能から個体応答までを繋ぐ研究のために、培養細胞の分子レベルの知見をもとに遺伝子改変マウスなどの活用も積極的に進めており、これによりヒトの生理/病理学的理解や創薬標的分子の掘り起こしに貢献しようと挑戦しています。

衛生化学

研究内容

衛生化学は、環境要因が人体に及ぼす影響を研究し、疾病の予防や治療への応用を探求する学問領域です。当分野では、特に微量元素が生体に与える影響を重点的に研究しています。質量分析法などの先進的な分析技術を活用して、特定の元素が環境中でどのように振る舞い人体に作用するかを解析し、疾病予防に貢献することを目指しています。また、元素の特性を活かした新しい医薬品の開発や安全性評価、毒性学的研究も行っています。さらに、近年の社会的要請をふまえ法中毒学・裁判化学といった分野も取り扱います。実践的な実験技術の習得とともに、未来の健康課題に対し包括的な視点を持つ薬学研究者の育成を目指しています。

微生物・免疫学

研究内容

感染症を引き起こすウイルスや細菌、及び細菌が作り出す毒素は、私たち宿主の細胞因子に作用することで病原性を示します。微生物・免疫学分野では、様々なウイルスの感染や細菌毒素の作用に必要な細胞因子、及び感染抑制因子の解明に取り組んでいます。宿主因子の探索方法としてCRISPR/Casシステムのゲノムワイドライブラリーをはじめとする遺伝学的手法及び生化学的手法を駆使することで、網羅的な細胞因子の同定を行っています。またタンパク質のみならず糖鎖や脂質の代謝と病原体感染への影響について解明することで、より包括的な病原体感染の理解を目指します。これらの知見を基に宿主因子を標的とした創薬研究へと繋げます。