医療薬学臨床領域 研究室紹介

臨床薬理学

研究内容

臨床薬理学は薬の開発から実臨床における薬物治療において、薬物動態学や薬力学、薬理遺伝学など多面的な角度から科学的に医薬品の有効性・安全性を考え、患者さんに最適な医療を提供するために不可欠な研究領域です。患者さんの中には薬の効果が発現しなかったり、副作用を生じてしまうことがあります。私たちは小児・妊産婦やがん・感染症等様々な患者さんの薬物治療を適正化するため、最適化する要因を臨床や非臨床で探索・実験したり、ヒトにおける薬の代謝・排泄・反応性等を数式でモデル化し、実際に薬を人に投与する前に、効果・安全性をコンピュータでシミュレーションし、薬の適切な投与量・投与方法を見極める研究をしています。

臨床薬剤学

研究内容

適正な薬物療法の実践のため、医薬品の評価や開発を目的に、薬物動態を研究しています。薬物が目的の組織に適切な濃度で到達することは、薬物の治療効果を発揮する上で非常に重要です。特に患者が妊婦の場合、薬物が胎児に影響するかが懸念されます。母体と胎児は胎盤を介して接しており、薬物が胎児にどの程度移行するかは、胎盤透過性の影響を強く受けます。薬物の胎盤透過性はトランスポーター等のタンパク質分子により制御され、妊娠時期により変動し、個体差もあります。妊婦および胎児に安全で有効な薬物治療法を開発するため、薬物の体内動態および胎盤を介した薬物の胎盤透過分子機構の解明に取り組んでいます。

社会薬学

研究内容

医薬品には開発時から多くの情報が蓄積され、承認後の臨床使用が進めばさらに情報が付加されていきます。その内容は、物理化学、製剤、適応症(疾病)、薬効薬理、薬物動態、臨床効果、副作用、相互作用、および法律・制度など多岐にわたります。薬剤師はこれらを横断的に理解し、目の前にいる個々の患者さんの情報と統合して、適切な薬物療法の実施に携わることが必要です。当分野では、このような薬物療法を取り巻く問題点の抽出、医薬品の理論的評価、および薬学や薬剤師と社会との関わりについて広くテーマを設定し研究を行っています。臨床における適正な医薬品使用を実践するための、新たな情報の創生を目指して活動しています。