▶︎プロフィール
経歴 |
1990 長崎大学医学部医学科卒業 |
資格 |
日本内科学会・総合内科専門医 |
所属学会 |
日本寄生虫学会(評議員) |
▶︎研究の概要
マラリアはマラリア原虫とヒト、媒介蚊であるハマダラカによって感染が成立します。グローバルなマラリア対策という軸でマラリア研究を考えた場合、これら3者のおりなす相互作用、さらにはマラリア流行を支える環境を生態疫学的に理解することが必要となります。
私たちは主に流行地のマラリア患者から得た検体を用いて、次項のテーマについて、マラリア浸淫地の生態系がどのようにマラリア流行に作用しているのか、またマラリアがどのように流行地に影響を与えているのかについて研究をしています。
研究に用いている手法は、流行地での調査・診断を中心としたフィールド医学、マラリア原虫のゲノム解析、集団遺伝学的解析、生態学とりわけ分子生態学的解析、生物統計学、遺伝統計学、感染症シミュレーションや数理モデリング(数理生物学者との共同研究)です。また、マラリア原虫の培養、in vitro薬剤耐性試験などの分子生物学的手法も一部用いています。
▶︎研究テーマ
薬剤耐性マラリアへの取り組み
・薬剤耐性熱帯熱マラリア原虫はどこから、どのように出現し、どのように広がっていくのか。
・現在の第一選択薬アルテミシニン耐性に関連する遺伝子は何か?
・耐性化によって使用できなくなった抗マラリア薬の中止によって感受性は回復するのか。
・薬剤耐性化したマラリア原虫の蔓延によって原虫の集団にはどのような変化が起こるのか。
・マラリア薬剤耐性原虫の起源地であるタイ・カンボジア・ミャンマーの原虫には耐性を起こしうるinherentな因子があるのか?
・流行地における薬剤耐性遺伝子変異を予測する数理モデルの開発【筑波大学との共同研究】
マラリア集団遺伝学
・マラリア対策の進展によって原虫集団はどのように変化していくか?
・集団遺伝学的基本パラメータ(近交係数、組換え率、マイクロサテライト変異やSNPの出現頻度)の推定【筑波大学との共同研究】
フィールドにおけるマラリア診断・治療技術の向上
・安定的にフィールドin vitro薬剤耐性試験結果を得ることができる実験条件の設定
・バイオナノテクノロジーを用いたマラリア診断デバイスの開発(流行地におけるfeasibilityのevaluationを担当) 【産業総合技術研究所との共同研究】
マラリア制圧をめざした社会科学的研究
・タイ・ミャンマー国境地区におけるmobile populationのマラリア治療希求行動と行動様式の解明ー何がマラリア薬剤耐性原虫を拡散させていくのか?
・開発途上国における住民の治療選択行動に関する実証分析-疫学経済学からのアプローチ【東京女子医科大学・国際環境熱帯医学との共同研究(研究代表者:塚原高広) 】