05 活動報告

2023.06.09

Gordon Research Conference: Neurotrophic Mechanisms in Health and Diseaseで、6年生の関口拓己さんが研究成果を発表しました

2023年5月28日(日)-6月2日(金)に、米国 ニューポート (Salve Regina University)で開催されたGordon Research Conference: Neurotrophic Mechanisms in Health and Diseaseで、6年生の関口拓己さんがポスター発表を行いました。
発表演題は「Role of APP-PlexinA interaction in NGF-dependent APP metabolism.」です。

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2023.09.30

関口拓己さん 海外学会発表 体験記を追加

私は、2023年5月28日〜6月2日の間、米国ロードアイランド州のSalve Regina Universityで開催されたGordon Research Conference(Neurotrophic Mechanisms in Health and Disease)に参加しました。私は、アルツハイマー病発症のトリガーとなるアミロイドβ(Aβ)が過剰に産生される機序として、Aβの前駆物質APPと神経軸索制御因子Semaphorin3Aの受容体PlexinAとの相互作用が重要である可能性を見出したことについてポスター発表を行いました(題:Role of APP-PlexinA interaction in NGF-dependent APP metabolism)。これまでいくつか国内学会には参加してきましたが、初めての国際学会ということで大変緊張しながら発表に臨みました。準備や発表で至らない点が多々ありましたが、多くの専門家の先生方から頂ける質問やアドバイス、フィードバックは今後の研究の方向性を確認する上で非常に有意義なものでした。

今回参加したGordon Research Conferenceは、サイエンスの分野で歴史と権威のある世界的に広く知られた学術集会の1つで、通常の学会とは異なり、参加者全員が同じ大学寮に宿泊して朝食から夕食まで共に過ごします。Neurotropinの大家からポスドク、大学院生まで様々なバックグラウンドを持つ研究者たちが、1週間同じ空間の中で研究内容や研究生活の話に花を咲かせるという特殊な空間でした。ポスター発表で質問を受けた研究者が実は大物だったと後で聞かされ大変驚いたということもありました。言語能力やコミュニケーション能力の壁があり当初は困惑しましたが、1週間英語づけ・研究づけの生活を送ってみると大変刺激的であったと感じております。

本学会の参加にあたって、基礎研究医養成プログラムの方々から多大なるご支援をいただきました。また、薬理学講座の先生方にも大変丁寧にご指導していただけたおかげでこのような学会発表につながったと感じております。この場を借りて御礼申し上げます。

<後輩・受験生の皆さんへ>

順天堂大学は医師を育てる上では日本一の大学だと言えます。昨年度の医師国家試験での合格率100%という実績がそれを物語っているでしょう。本学で勉強をすれば臨床のプロになれることは保証されますが、医学部のカリキュラムの中で基礎研究に関われる時間はM3の数ヶ月のみとそう多くありません。

今年の7月にアルツハイマー病の新薬Lecanemabが本邦においても承認され話題となりましたが、薬価の問題、副作用の問題、治療効果の問題など解決すべき課題は未だ山積しています。脳神経領域に関わらず、現代の医学では治療が困難な疾患が多く存在することは医学を学べば自ずと気付くことになるでしょう。そんな課題を解決するべく臨床だけでなく研究に携わることが医師の責務であると言えます。皆さんも是非研究者としての第一歩を大学生活から歩み始めてみませんか?

本学医学部長の服部信孝先生が神経学講座のHPで「フィジシャン・サイエンティスト(Physician Scientist:研究者の目を持つ臨床医、臨床医の目を持つ研究者)であれ」と仰っています。臨床と研究の「二刀流」ができる医師になるために、是非、基礎の研究室の門を叩いてみてください。きっとあなたの医師人生にとってプラスとなることでしょう。