教育関連
医学部(2022年度)
私達は日常、無数の病原性微生物の攻撃にさらされているにもかかわらず、感染症を起こすことは希である。こうした体内に侵入
する様々な病原体を排除する生体防御システムの一つが免疫である。一方で、私達の身体は病原体だけに反応するわけではない。例えば、他人の臓器をそのまま
移植すると、強い拒絶反応を起こす。A型の血液をB型のヒトに輸血した時にも、免疫はその違いに気づき排除しようとする。このように病原体ばかりではな
く、臓器でも血液でも、とにかく〝自分とは異なる異物(非自己)〟を識別して、排除しようとする仕組み、それら全てが免疫である。免疫系が自己と非自己を
識別する巧妙なメカニズムを理解し、外来から侵入する異物(細胞やウイルスなど)に対する自然免疫応答および獲得免疫応答について学ぶ。免疫系を構成する
組織や細胞、分子を理解し、最も重要な抗原の認識方法と多様性への対応メカニズムについて理解する。さらに、免疫応答の異常により生じるアレルギーや自己
免疫疾患の発症メカニズム、免疫応答が低下した免疫不全症、臓器移植における拒絶反応のメカニズム、日本の移植医療や腫瘍免疫について学ぶ。
-M2-
ZoneA 組織学各論
学習目標:①体液性免疫と細胞性免疫を説明できる。②免疫系を構成する細胞の種類と機能について説明できる。③免疫系を担う臓器について説明できる。
講義日時:
ZoneC 血液
学習目標:白血球の種類を説明できる。白血球の機能の概略を説明できる。
講義日時:
ZoneD 感染・免疫
学習目標:免疫学的自己の確立と破綻を理解し、外来生物に対する自然免疫ならびに獲得免疫の違いを説明できる。T細胞の反応については、抗原提示の仕組みを理解する。T細胞受容
体(TCR)とB細胞が分泌する免疫グロブリン(抗体)の構造と遺伝子再構成に基づく多様性の形成、記憶の獲得機構について説明できる。抗原受容体からの
シグナルの増強と減弱の調節機構を概説できる。特徴的なサイトカイン・ケモカインの特徴を説明できる。Th1, Th2,
Th17などのヘルパーT細胞のサブセットについて、それぞれが担当する生体防御機能を説明できるようにする。
免疫学の基礎概念を理解することは、医師が必ず遭遇する感染症の診療と治療の基礎として必須である。また、各科にまたがる疾患である自己免疫疾患、アレルギー疾患診療の基礎となる他、移植治療、がん治療においても必要である。
講義日時:
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1/5 (木) 5,6限 | 免疫-1:自然免疫-1 | 吉川宗一郎 |
1/6 (金) 1,2限 | 免疫-2:自然免疫-2 | 吉川宗一郎 |
1/11 (水) 3,4限 | 免疫-3:抗体 | 千葉麻子 |
1/12 (木) 3,4限 | 免疫-4:B細胞分化・機能 | 千葉麻子 |
1/13(金) 1,2限 | 免疫-5:抗原提示 | 秋葉久弥 |
1/16(月) 5,6限 | 免疫-6:T細胞分化 | 秋葉久弥 |
1/18(水) 3,4限 | 免疫-7:T細胞の機能 | 秋葉久弥 |
1/25(水) 3,4限 | 免疫-8:感染免疫 | 三宅幸子 |
1/26(木) 3,4限 | 免疫-9:アレルギー | 北浦次郎(アトピー疾患研究センター) |
1/30(月) 5,6限 | 免疫-10:移植免疫 | 加藤和則(アトピー疾患研究センター) |
1/31 (火) 3,4限 | 免疫-11:自己免疫疾患 | 三宅幸子 |
2/1(水) 3,4限 | 免疫-12:免疫不全症 | 稲毛英介(小児科学講座) |
2/3 (金) 3,4限 | 免疫-13:移植免疫 | 西井慧美 |
実習日時:
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1/18(水) 5-8限 | 免疫学実習1-A |
1/19(木) 1-4限 | 免疫学実習1-B |
1/19(木) 5-8限 | 免疫学実習2-A |
1/20(金) 5-8限 | 免疫学実習2-B |
免疫学的実験の基本手技の習得。
免疫反応に関わる細胞の表面形質上の相違を理解する。フローサイトメトリーの原理を理解する。抗原抗体反応を理解して、免疫グロブリンの種類と特徴を説明できるようにする。酵素免疫測定法(ELISA)の原理を理解する。免疫組織染色反応を理解する。
以下の3項目について実習を行う。全体を3班に分け、さらに1グループ3~4名で行う。
1. フローサトメトリーを用いた細胞表面分子の解析
2. 酵素免疫測定法(ELISA)による抗体価の測定
3. 免疫組織染色による免疫細胞の局在の検討
-M3-
基礎ゼミナール
日程:
基本的に学生1名につき教員1名が個人指導にあたる。 各教員が自分の研究分野から5週間で行える研究(実験)テーマを提案し、各自そのテーマに関連した知識を習得するとともに、実験を行って、研究成果を発表会にて報告する。
以下に挙げる過去2~3年の研究内容を参考に、各自が興味を持つ研究内容を事前に検討しておくこと。
自然リンパ球の機能解析、喘息や自己免疫疾患に対する抗体治療、T細胞分化における腸内細菌の影響、ミクログリアによる脳機能修飾に関する研究、等
選択した研究テーマに関連する細胞や分子などの働きについて、自主的に理解を深めること。
「疑問に感じ、自ら考えて、行動し、理解する」まず疑問に感じることが重要である