インスリンとは
インスリンは、血中のグルコース(血糖)濃度を調整する生命維持に不可欠なホルモンであり、主に膵臓に存在するβ細胞と呼ばれる内分泌細胞から分泌されます。食事により上昇した血糖値を感知して分泌されるインスリンは、筋肉や肝臓、脳などの細胞にグルコースの取り込みを促進し、エネルギー源としての利用や貯蔵を可能にします。この調節機構により、インスリンは代謝の恒常性を維持し、過剰な高血糖状態による臓器障害を防ぐ重要な役割を果たしています。したがって、インスリンの分泌障害は糖尿病の根本原因となり、体全体に深刻な影響を与える可能性があります。
膵内分泌細胞とは
膵内分泌細胞とは、体内の代謝や恒常性の調整に関与するホルモンを分泌する細胞群で、膵臓内のランゲルハンス島に存在しています。これらの細胞は、それぞれ異なるホルモンを分泌する複数の細胞タイプで構成されており、具体的には以下の5種類が知られています:
· α細胞:血糖値を上昇させるグルカゴンを分泌
· β細胞:血糖値を下げるインスリンを分泌
· δ細胞:他のホルモン分泌を調節するソマトスタチンを分泌
· γ細胞(PP細胞):膵ポリペプチドを分泌
· ε細胞:摂食行動に関与するグレリンを分泌
これらのホルモンは血流を通じて全身へと運ばれ、エネルギー代謝、食欲、血糖調節など多様な生理機能を制御します。膵臓以外にも、内分泌細胞は甲状腺、副腎など様々な内分泌器官に存在し、全身の生理的バランスを維持するうえで重要な役割を担っています。
